地理的表示(GI)

読み方: ちりてきひょうじ
英語: Geographical Indications(GI)
分類: 制度

地理的表示(GI)は、高い品質や評価を持った産品が、その地理的原産地に由来する場合に、その産品の原産地を特定する表示をいいます。

世界貿易機関(WTO)の協定に基づく知的財産権で、日本においては、「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)」に基づき運用される「地理的表示保護制度」で定められています。

その目的として、産品の品質について国が「お墨付き」を与え、生産業者の利益の保護を図ると共に、知名度向上やブランド保護などが期待されています。

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地理的表示の定義について

地理的表示は、日本の制度とWTOの協定において、現在、以下のように定義されています。

日本の地理的表示制度による定義

農林水産物・食品等の名称であって、その名称から当該産品の産地を特定でき、産品の品質等の確立した特性が当該産地と結びついているということを特定できるもの。(地理的表示として登録が認められた産品には、地理的表示と併せて登録標章(GIマーク)を付すことができる)

世界貿易機関(WTO)のTRIPS協定の定義(第22条1)

この協定の適用上、地理的表示とは、ある商品に関し、その確立した品質、社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において、当該商品が加盟国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を原産地とするものであることを特定する表示をいう。

地理的表示の特色について

食品など産品の名称を守る制度には、商標権などがありますが、通常、第三者による違反に対しては、被害者自らが差し止め請求などを行う必要があるのに対して、地理的表示制度では、国が違反者に排除を命じたり、罰則を科したりすることができます。

その一方で、地理的表示として登録されると、地域共有の財産となるため、独占排他的な使用はできなくなります。

地理的表示の登録必要事項について

地理的表示の登録必要事項は、現在、以下のようになっています。

・地域団体商標の指定商品が農林水産物、飲食料品等であること
・その指定商品が生産地と結び付いた品質等の特性を有していること
・申請に際して、その指定商品が有する特性やその生産方法等を明確に定め、登録後には、生産された商品がこれらを満たしているかどうか、商標権者が品質管理を実施すること
・その指定商品が一定期間(約25年)継続して生産された実績があること

地理的表示の登録例について

地理的表示は、日本において、現在、100産品超あり、登録例として以下が挙げられます。

・夕張メロン(北海道夕張市)
・あおもりカシス(青森市)
・前沢牛(岩手県奥州市前沢区)
・市田柿(長野県飯田市他)
・東京しゃも(東京都)
・八丁味噌(愛知県)
・吉川ナス(福井県鯖江市)
・神戸ビーフ(兵庫県内)
・下関ふく(山口県下関市他)
・宮崎牛(宮崎県)
・琉球もろみ酢(沖縄県) 他

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