バイセル取引

読み方: ばいせるとりひき
分類: 商慣行

バイセル取引(Buy-Sell取引)は、「有償支給取引」とも呼ばれ、メーカーが製品の加工を他社(製造委託先)に委託する際に、いったん製品に必要な部品を委託先に販売すると共に、委託先の加工後に完成品を買い戻す取引をいいます。

製造委託の際に用いられる手法で、会計処理を適切に行えば問題はありませんが、一方で時として不正会計の手口となることもあります。

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バイセル取引の仕組みと目的

バイセル取引は、自社製品の製造委託において、大手メーカーが部品メーカーと直接交渉し、その力関係から部品を大量に安く仕入れて委託先に販売する仕組みであり、部品の調達コストを削減することを目的としています。

バイセル取引の活用と注意

バイセル取引は、パソコンやスマホなどの製造委託において、日常的に用いられている手法です。

通常、社内規定等により部品を仕入価格より高く販売することで一時的な利益が生じることがありますが、その後、部品を組み入れた完成品を委託先メーカーから買い戻すことで最終的に利益は相殺されるため、会計処理を適切に行えば問題はありません。

ただし、2015年に発覚した「東芝のPC事業の不適切会計処理問題」のように、バイセル取引を悪用して利益の水増しが行われていた事例もあり、本取引を行う企業は、不正が行われないように細心の注意を払う必要があります。

<東芝の不適切会計処理問題について>

第三者委員会の調査の見解によると、当初のバイセル取引やそれに伴う不適切な会計処理については、利益のかさ上げを狙ったものではなかったが、その後、これを悪用して利益をかさ上げするといったことが組織的に行われていたとのこと。

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