リスケ

読み方: りすけ
分類: 概念

リスケは、「リスケジュール(reschedule)」の略をいいます。これは、金融用語では「借入の返済計画の一時的な見直し」を意味し、またビジネス用語では「スケジュールの組み直し」を意味します。どちらも、通常、ネガティブな意味合いとなっており、また相手に迷惑をかけるものなので注意が必要です。

ここでは、金融用語とビジネス用語の「リスケ」について、それぞれの概要を簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

金融用語の「リスケ」について

リスケは、金融用語では、借入の返済計画の一時的な見直しのことをいいます。

企業が経営難に直面し、金融機関(銀行等)からの借入の返済が厳しくなった時に、企業側(経営者・財務担当者等)から金融機関(融資担当者・支店長等)に「借入金の返済条件の見直し」を依頼(要請)するもので、経済的に合理的であると判断される場合に応じてもらえます。

なお、本用語は、元々は業界用語なので、金融機関にリスケを要請する場合は、「しばらく返済を猶予してほしい」や「融資の条件変更をお願いしたい」といった普通の表現の方が適当といえます。

リスケとは

リスケは、企業が資金繰りが困難になった場合に、経営改善計画を策定し、金融機関(銀行等)に対して、「借入金の返済条件の変更を受け入れてもらうプロセス」および「一時的な債務返済の繰り延べ」をいいます。

現在、日本の中小企業において、金融機関へのリスケは決して珍しいものではなく(日常的に行われており)、万一に備えて「リスケ」という手段を知っておくことは必要かと思います。ちなみに、中小企業等に対する金融円滑化対策などにより、リスケの実行率は90%を超えているそうです。

<リスケの内容>

・条件変更期間:半年~1年間
・元本返済:小額(0円ではなく、多少は返済する)
・利払い:あり(支払利息は猶予されず)

※リスケの交渉に際しては、元本返済は0円、猶予期間は1年を要望し、落としどころを探るとよい。また、他行に預金や入金口座を置くなど、交渉が成立せず、預金口座から資金が回収される対策は予めしておいた方がよい。

企業がリスケを行う背景

企業は、時代と共に経営環境が変わる中、事業計画の失敗、価格競争の激化、取引先の倒産、市場の縮小、商品・サービスの衰退、自然災害などで、時として業績や資金繰りが悪化することがあります。このような時に、通常の返済を続けると「倒産」の恐れがあり、それを防ぐために「リスケ」を金融機関に要請します。

<企業のリスケの目的>

資金負担の軽減により倒産を防止し、経営の再建を図る。

企業がリスケを認められた場合

リスケは、一定期間(半年~1年間)の返済猶予のため、企業は、その期間中に経営を立て直し、原則として、猶予後に元の返済条件に戻さなければなりません。そのためには、元の返済負担に耐えうるように、営業キャッシュフローを早急に改善する「抜本的な経営改革」が必要になります。

なお、現実的には、当初期間のリスケでは再建できず、リスケの再要請(リスケ期間の更新)を行うことが多いです。また、リスケ期間の更新が認められなければ、企業は倒産に至ります。

金融機関がリスケに応諾する背景

金融機関(銀行等)にとって、企業(貸出先)から「返済をしばらく猶予してほしい!」と要請される「リスケ」は、決して好ましいことではありません。その一方で、貸出先が倒産すると「貸し倒れ」になってしまうので、再建の道(将来的な回収の可能性)があるのなら、協力した方が得策なので「リスケ」に応じます。

<金融機関のリスケの目的>

貸出先に猶予期間を与えることで、倒産による貸し倒れを防ぎ、将来的に融資した資金を回収する。

金融機関がリスケに応諾するケース

金融機関(銀行等)は、企業からの「リスケ」の要請に対して、経済的に合理的であると判断される場合に、一時的な返済額の減額を行う「リスケ」に応じてくれます。また、経済的な合理性の判断基準は、金融庁が定める監督指針などで明確に規定されています。

◎経済的に合理的であるとは、会社(企業)が、実現可能性が高く、かつ抜本的な経営改善計画を策定している場合。

◎経営改善計画は、厳しい想定に基づいて作成され、かつ概ね3年以内に正常先になることを求めている(中小企業の場合、要件がさらに緩和)。

リスケのメリットとデメリット

リスケは、資金繰りが苦しくなった企業が、一定期間(半年~1年間)、借入金の返済額を減額してもらえる手段で、以下のようなメリットとデメリットがあります。

<リスケのメリット>

◎元本の返済を一定期間(半年~1年間)待ってもらえる。

◎一時的に元本部分の大半が返済猶予されるため、その分だけ資金繰りが楽になり、倒産の確率が下がる。

◎リスケをしている間、金融機関は法的な回収手段をとらず、回収を待ってくれる。

<リスケのデメリット>

◎リスケが終わるまで、取引行から新規融資は実行してもらえない(資金ショートに陥っても、お金を借りられない)。また、中小企業に多いマル保融資でのリスケでは、他行からの新規融資も困難になる(保証協会の承認が下りない)。

◎リスケ期間は最大でも1年であり、時間的な猶予は非常に短い。また、経営改善計画の少なくとも80%をクリアしていなければ、リスケの延長はしてくれない。

◎リスケを行うと「正常先」から「要注意先 or 破綻懸念先」に分類され、また金融機関内での稟議書の作成や決裁など手間も多く、融資担当者の態度が非常に厳しくなる。

◎リスケが外部にもれると、会社の信用が失墜することになるので、細心の注意を払って極秘に進めなければならない。また、短期間に経営再建もしなければならず、経営者には多大な精神的な負担が発生する。

ビジネス用語の「リスケ」について

リスケは、ビジネス用語では、スケジュールを組み直すことをいいます。これは、何らかの要因で、スケジュール調整が必要になった場合に、同僚や部下、秘書などに対して、「リスケをお願い(します)」といった感じで使われ、通常、予定の前倒しで使うことはほとんどなく、予定の延期で使うことがほとんどです。

リスケの使用場面

リスケは、日常的には、打合せやプレゼン、出張、会議、納期といったスケジュールの変更の場合に、自分または相手が使います。

◎自分が、同僚や部下、秘書などに対して、その旨を伝えるために、口頭や電話、メール、LINEなどで使う。

◎自分のスケジュール管理やメモなどの中で、略語として使う。

◎上司や同僚などから、自分に対して、その旨を伝えるために使われる。

リスケの使用注意

リスケは、フランクな略語(カタカナ語)で、通常、身内で使うものであり、職場内の目上の者(上司・先輩等)や取引先の担当者などに対しては、原則として使いません。

◎上司や先輩などに対しては、「リスケ」ではなく、「予定変更」や「スケジュール変更」など、普通の表現を使う。なお、職場内で上下問わず、「リスケ」が共通語として日常的に使われている場合は、使っても問題ない。

◎自社の事情で「リスケ」が発生した場合、取引先の担当者に対しては、電話などで謝罪すると共に、「日程の変更をお願いするのは可能でしょうか?」など、丁寧な表現で相手に失礼のないように対応する。

リスケの例文(用例)

リスケは、日常のビジネスシーン等において、よく使われています。

・(自分への愚痴)クライアントに納期のリスケをお願いしたら、すごく怒られた。自分のせいではないのに・・・。

・(秘書に対して)出張の予定が変更になったので、リスケしておいてください。

・(上司に対して)納品日をリスケできないか、先方と話してみます。

・(同僚に対して)会議リスケになったので、飲みに行かない?

・(友人に対して)来月のゴルフの予定、リスケしたいんだけど大丈夫かな?

「リスケ」のまとめ

リスケは、「リスケジュール(reschedule)」の略で、金融業界では「返済計画の見直し」、ビジネスシーンでは「スケジュールの組み直し」といった意味があります。

◎金融機関(銀行等)は、企業からの「リスケ」の要請に対して、経済的に合理的であると判断される場合に、一時的な返済額の減額を行う「リスケ」に応じてくれる。

◎ビジネスシーンでは、フランクな表現なので、通常、同僚や部下、秘書、仲間など、身内で使うものとなっている。

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