量的金融緩和第3弾(QE3)

読み方: りょうてききんゆうかんわだいさんだん
英語: Quantitative Easing 3
分類: 米国

QE3は、"Quantitative Easing 3"の略で、日本語では「量的金融緩和第3弾」とも呼ばれ、アメリカ合衆国連邦準備制度理事会(FRB)が、2012年9月12-13日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)の後に発表した量的緩和政策をいいます。

リーマンショックなどを契機とした世界金融危機による景気悪化に対して、2009年に導入された「量的金融緩和(この時は信用緩和と呼ばれた)」、2010年11月に景気回復の促進やインフレ率低下の阻止などを目的に導入された「量的金融緩和第2弾(QE2)」に次ぐ第3弾で、不動産市場の活性化や雇用環境の改善などを目的としていました。

一般に量的緩和政策は、国債やMBSなどを買い取り、金融市場の資金量を増加させるというもので、また政策金利の水準を引き下げて景気を浮揚させる金融緩和策とは異なるもので、当時、その効果の有無や弊害も広く指摘されました(将来的な緩和策の終了や縮小の際には混乱が予想された)。

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量的金融緩和第3弾(QE3)の内容

当初、2012年9月のQE3の政策対応(具体的内容)としては、以下のようになっていました。

住宅ローン担保証券(RMBS)の買取規模は、月額400億ドル (2012年末までは、オペレーションツイストと並行して実施する)
・即日実施し、雇用市場が改善するまで継続する (インフレ率が抑制されている限り、無期限に実施する)
・事実上のゼロ金利政策を2014年終盤から2015年半ばまで延長する

その後、2012年12月11-12日に開催したFOMCでは、オペレーションツイストの12月終了に伴い、月間400億ドルペースのMBS購入に加え、米長期国債も月間450億ドル購入する(合計で850億ドルペースへ引き上げる)追加緩和を決定しました。

また、従来の緩和政策解除の目安として示していた、FOMCの利上げ再開時期の公表を取りやめる一方で、失業率目標を導入し、低金利政策は失業率6.5%、期待インフレ率2.5%以上の条件を満たすまで継続する姿勢を明らかにしました。

量的金融緩和第3弾(QE3)の終了とQE4の実施

2014年10月28-29日に開催したFOMCで、ついに「QE3の終了」が決定され、また金利政策については、資産買い入れ終了後も「相当な期間」事実上のゼロ金利を維持する方針を確認し、利上げの時期やペースは今後の経済指標の内容に左右されるとしました。

<QE3終了後のFRBの対応>

◎2015年12月16日に「政策金利の0.25%引上げ」を決定し、2008年末から続くゼロ金利政策を解除した(利上げは2006年6月以来、9年半ぶり)。

◎2015年12月16日のFOMCの政策声明では、FF金利水準の正常化が順調に進行するまで再投資を続ける方針を示した。

その後、米国経済は順調に回復していきましたが、2000年に新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の世界的危機により、FRBは、2020年3月23日に臨時のFOMCを開き、ゼロ金利や米国債の買い入れなどからなる「量的金融緩和第4弾(QE4)」を導入しました。

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