TLTRO

読み方: てるとろ
英語: Targeted Longer-Term Refinancing Operations
分類: EU

TLTROは、"Targeted Longer-Term Refinancing Operations"の略で、2014-2016年に欧州中央銀行(ECB)が実施した貸出条件付きの流動性供給オペをいいます。

当時、ユーロ圏の銀行による実体経済への融資を促進するため、銀行に超低金利(政策金利に0.1%上乗せ)で最長4年の資金を貸し出したもので、その後、ECBは、第1弾のTLTROに続き、2016年3月に第2弾の「TLTRO2」を実施し、さらに2019年9月に第3弾の「TLTRO3」を実施しました。

現在、TLTRO3は、新型コロナ対策パッケージの一つとして、大幅に拡充されて継続中です。

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TLTROの実施

TLTROは、ECBが2014-2016年に実施した「貸出条件付きの流動性供給オペ(的を絞った長期資金供給オペ)」で、当時、ECBの資金にアクセスできる、ユーロ圏の銀行全てが対象となっていました。また、単独ではアクセスできる資格を備えていない銀行でも、資格を有する一銀行を柱としたグループを通じて借り入れができました。

◎第1段階(2014年9月と12月に実施)のオペでは、2014年4月30日時点のユーロ圏の民間非金融部門への貸出残高から住宅ローンを除いた額の7%相当を上限として借り入れができた(当初予定総額は4,000億ユーロ)。

◎第2段階(2015年3月から2016年6月まで四半期毎に実施)のオペでは、ユーロ圏の民間非金融部門への純貸出から住宅ローンを除いた額の最大3倍までの追加調達ができた。

TLTRO2の実施

TLTRO2は、2016年3月に追加金融緩和策の一つとして、政策金利の引下げ、資産購入プログラムの拡大と共に導入されました。2016年6月・9月・12月、2017年3月に計4回のオペが実施され、住宅ローン等の残高を除く適格ローン残高の30%まで、ECBから借り入れができました。

その際の適用金利については、各オペレーション時点の主要リファイナンスオペレーション金利が適用されましたが、適格ローンの貸出額が各金融機関毎に定められたベンチマークを上回った場合は、預金ファシリティ金利と同水準まで優遇されました。

TLTRO3の実施

TLTRO3は、当初、景気対策の一環として、2019年9月から2021年3月まで合計7回、実施される予定でしたが、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)による経済危機により、2020年3月に「新型コロナ対策パッケージ(QEと長期資金供給拡大)」の中で大幅に拡充されました。

具体的には、条件付き長期リファイナンスオペの資金供給額が大幅に拡大されると共に、金利面も引き下げるなど、借り手に有利な条件としました。また、2020年12月に借り手に有利な条件が適用される期間が2022年6月まで延長されました。

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