り地域

読み方: りちいき
分類: 問題

り地域は、大韓民国(韓国)のみが指定されている、仕向地の分類をいいます。

日本の安全保障貿易管理において、輸出先の国や地域を信頼性の度合いによって分類したカテゴリーの一つで、2019年に徴用工問題などで日本と韓国の信頼関係が著しく損なわれる中、2019年7月1日に韓国のみが対象地域となるように新設されたものです。

ここでは、「り地域」の概要について、簡単にまとめてみました。

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り地域と経済産業省の仕向地の分類

り地域は、2019年7月1日に韓国を対象に新設されたもので、その法的根拠は「輸出貿易管理令の運用について」等の一部を改正する通達によっています(2020年7月1日公布、7月4日施行)。

公表当初、「り地域」は、いろは順の並べ方のため、信頼度で最下位と認識する方もいましたが、それは全くの誤りで、単に「ち」まで分類が使われていたため、次の「り」になったにすぎません。

現在、経済産業省は、安全保障貿易管理において、輸出許可申請の提出書類及び申請窓口を整理するため、仕向地(商品・貨物などの送り先)を、い地域①、い地域②、ろ地域、は地域①、は地域②、に地域①、に地域②、ほ地域、へ地域、と地域①、と地域②、ち地域、り地域の計13地域に分類しています。

韓国の仕向地の分類変更

韓国は、日本の安全保障貿易管理において、2019年6月までは、仕向地の分類で、欧米諸国の多くが指定されている「い地域①」に入っていましたが、2019年7月以降は「り地域」に変更されました(韓国は「と地域①」にも区分されているが、これは変更なし)。

経済産業省では、「り地域」への変更について、韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、韓国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこともあり、輸出管理を適切に実施する観点から、フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの3品目について、韓国向け輸出及びその関連技術の移転を一般包括許可及び特別一般包括許可の制度の対象から外し、個別許可申請を求め、輸出審査を行うためとしています。

なお、フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの3品目以外については、「り地域」と「い地域①」は基本的に同じ扱いとなっています。

韓国のホワイト国からの除外

日本政府は、2019年8月2日に、韓国をホワイト国(輸出管理制度において優遇措置が得られる国)から除外する旨を定めた輸出貿易管理令の一部を改正する政令を閣議決定し、同月28日に施行しました。また、経済産業省は、この改正に合わせて、これまで使用してきた輸出管理上の国別カテゴリーの名称を変更しました。

具体的には、「ホワイト国」と「非ホワイト国」の2種類だった従来のカテゴリーを4段階とし、輸出管理制度が整っている国から順にグループA(=ホワイト国)、グループB、グループC、グループDに再分類し、韓国は「グループB」としました。これにより、既に輸出管理を強化していた半導体材料の3品目に加え、食品や木材を除く軍事転用が可能な多くの品目でも韓国向けの輸出手続きが煩雑になりました。

なお、韓国も日本への対抗措置として、ホワイト国から日本を除外し、また日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を示唆するなど、日韓関係はさらに悪化することになりました(現状、GSOMIAは破棄せず)。

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