ベーシック・インカム

【英語:Basic Income、分類:概念】

ベーシック・インカム(Basic Income)は、日本語で「基礎所得保障」や「基本所得」とも訳され、個人が最低限の生活を送るために必要とされる所得を現金給付の形で保障する制度をいいます。

従来の社会保険や公的扶助などの所得保障制度が何らかの受給資格を設けているのに対して、所得や資産、就労などの有無にかかわらず無条件で給付するという仕組みになっており、また個人のライフスタイルが多様化する中で、家族形態や働き方などとは関係なく、個人単位で定期的に給付される点も大きな特徴となっています。

一般にベーシック・インカムは、社会福祉の切り札とも、金のバラマキとも言われ、1970年代くらいから欧州などで様々な議論が展開され、賛否が分かれてきました。そういった中、2017年にフィンランドが国家レベルでは初めて試験的な導入を実施し、2020年に最終報告書が公表され、それなりに効果はあったようです。

●フィンランドの実験概要

ベーシックインカムの2年間(2017年1月-2018年12月)の実験で、無作為に選ばれた労働年齢(25-58歳)に達する2000人に対して、国民年金の最低支給月額と同一の560ユーロを支給した。

●フィンランドの実験結果

ベーシックインカムが雇用(就労)にもたらす影響は小さかった。また、実験の参加者の方が、生活への満足度が高く、精神的なストレスを抱えている割合が少なかったほか、他者や社会組織への信頼度がより高く、自分の将来にもより高い自信を示した。