所得税について

所得税は、個人が様々な所得(利益)を得た時に、国に納める税金(国税)をいいます。これは、会社員や公務員などの給与や退職金、個人事業主が商売で得た利益、個人が資産運用で得た利益、個人が不動産を売って得た利益など、様々な所得に対してかかってきます。現在、日本の所得税法では、所得をその発生形態により、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類に分類しています。

一般に所得の発生理由ごとに、所得金額の算定方法はそれぞれ異なりますが、基本的には、収入金額から必要経費を差し引いて「所得金額」が計算されます。また、個人の所得に対しては、社会政策的見地から、家族構成や生活状況などを考慮して、所得金額から一定金額をマイナスする「所得控除」という制度があり、これらの控除後の金額に対して、「所得税」が最終的に課税されるという仕組みになっています。

所得税の居住者と非居住者

所得税は、個人の所得に対してかかる税金ですが、その個人を「居住者」と「非居住者」とに区分して、それぞれ課税方法を定めています。現在、両者の判定は、日本国籍の有無ではなく、住所・居住期間の長短や永住意思の有無などによります。

|居住者

日本国内に住所または引き続き1年以上の居所がある個人をいい、国内外を問わず、原則として全所得について課税されます。

|非居住者

居住者以外の個人で、日本国内で生ずる所得についてのみ課税されます。

所得税の所得の種類

所得は、その発生形態により、以下の10種類に分類されます。また、6の退職所得及び7の山林所得を除いて、対象金額を合計したものを「総所得金額」と言い、課税の標準となります。

1.利子所得

預貯金の利子や公債および社債の利子などの所得をいいます。

2.配当所得

株式や出資の配当などの所得をいいます。

3.不動産所得

土地や建物の不動産を貸している場合の賃貸収入などの所得をいいます。

4.事業所得

商工業や農業などの個人事業から生ずる所得をいいます。

5.給与所得

給料や賞与などの所得をいいます。

6.退職所得

退職金など退職を理由に発生する場合の所得をいいます。

7.山林所得

山林を伐採し、売却した場合の所得をいいます。

8.譲渡所得

土地や建物、ゴルフ会員権など一定の資産を譲渡した場合の所得をいいます。

9.一時所得

懸賞金や生命保険の満期返戻金など一時的な所得をいいます。

10.雑所得

公的年金など上記1-9のいずれにも当てはまらない所得をいいます。

所得税の所得控除

所得税を課税するにあたって、家族構成や生活状況など、生活条件が納税者によって大きく異なっています。こうした個別的条件を考慮して、できるだけ税の公平性を図ろうとする措置が「所得控除」であり、所得金額から控除することができます。現在、所得控除は、全部で14種類あり、納税者本人やその家族について控除される「人的控除」と、生活維持のために必要な費用について控除される「物的(その他の)控除」とに分けられます。

|人的所得控除(7種類)

基礎控除配偶者控除配偶者特別控除扶養控除障害者控除寡婦控除寡夫控除)、勤労学生控除

|物的所得控除(7種類)

雑損控除医療費控除社会保険料控除生命保険料控除地震保険料控除小規模企業共済等掛金控除寄附金控除

所得税の税額控除

上述した「総所得金額」から各所得控除を差引したものが「課税総所得金額」で、これに税率を適用すると「所得税額」が求められます。こうして算出された税額から、さらに税金を差し引ける場合があり、これを「税額控除」と言います。具体的には、他の課税との調整から必要な「配当控除」や「外国税額控除」、住宅取得促進のために設けられた「住宅借入金等特別控除」、また「政党等寄附金特別控除」や「公益社団法人等寄附金特別控除」などもあります。

所得税の総合課税と分離課税

所得税は、原則として、全ての所得を合算して、累進税率を適用する総合課税を採用しています。その中で、山林所得や退職所得については、収入の実現に長期間を要するとの観点から、例外として他の所得とは別枠で計算する「分離課税」を採用しているほか、土地や建物といった不動産株式などを譲渡した場合にも、政策的配慮から総合課税に含める譲渡所得とは分離して課税します。さらに、預貯金利子なども分離して課税します。

現在、山林所得や退職所得、分離譲渡所得は、他の所得と分離して計算した上で確定申告を行う「申告分離課税」となっていますが、一方で預貯金の利子などは、利子所得がその支払いを受ける時に所得税を天引きされる(源泉徴収される)ことで課税関係が終了する「源泉分離課税」となっています。

所得税の計算

多くの人にとって、山林所得や退職所得、分離譲渡所得は、それほど生ずるものではありませんので、ここでは、これらを除いた「一般的な総合課税」について説明します。

まず、1年間に得た各所得金額を算出し、総合します。その際に、各所得の損益を通算したり、前年の損失の繰越控除を行ったりします。この結果、算出されるのが「総所得金額」で、ここから各所得控除額を差引きして「課税総所得金額」を求め、これに税率を適用して「所得税額」を求めます。そして、ここから税額控除や源泉徴収税額を差引きして、最終的な「申告納付税額」が算出されます。

・課税所得金額=所得(総合)-所得控除
・所得税額=課税所得金額×税率-控除額

税金のかからない所得

所得の中には、例外的に税金のかからないものもあります。例えば、香典や災害見舞金等で社会通念上相当と認められるもの、会社員の転勤費用や障害者等のマル優(非課税貯蓄)の利子、また宝くじの賞金などが挙げられます。