おサイフケータイ
おサイフケータイとは、非接触型ICカード技術のFeliCa(フェリカ)のICチップを搭載したAndroidのスマートフォン、または非接触型ICカード技術のFeliCaによるモバイル決済サービスのことをいいます。これは、ガラケー時代からあるもので、名前は広く知られていますが、一方で、その正体や意味を知っている人は意外と少ないです。
一般におサイフケータイのイメージとして、一番分かりやすいのは、コンビニのレジや駅の改札などで、スマートフォンをかざして行う、タッチ決済やタッチ通過ではないでしょうか?
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おサイフケータイの運営元とFeliCa
現在、おサイフケータイの商標登録は、2004年にサービスを最初に開始した「NTTドコモ」ですが、一方で、おサイフケータイの運営元は、おサイフケータイアプリを提供する、「フェリカネットワークス」となっています。フェリカネットワークスは、FeliCa技術を核とした「モバイルFeliCaプラットフォーム」の提供企業で、ソニー、NTTドコモ、JR東日本が株主となっています。
また、FeliCa(フェリカ)とは、近距離無線通信技術のNFC(Near Field Communication)の一つで、日本のソニーが開発した、ICチップとアンテナを搭載したカードなどを専用リーダー(読み取り機)にかざすだけで、データのやりとりができる非接触型ICカード技術をいいます。
一般に「おサイフケータイ」では、レジでのタッチ決済や改札でのタッチ通過などができますが、その元になる技術が「FeliCa」であり、現在、電子マネーや交通系ICカード、会員証などに「FeliCa」が広く採用されています。
おサイフケータイの仕組み
おサイフケータイで一番分かりずらいのは、「おサイフケータイアプリ」の他に、電子マネーやモバイル乗車券などの「専用アプリ」、さらにGoogle Payを設定する「Googleウォレット」があり、これらのアプリの関係(位置づけ)が分からないため、使うのを躊躇している方も多いのではないでしょうか?
実は、おサイフケータイアプリは、近距離無線通信技術のFericaをコントロールするものであり、このおサイフケータイアプリをベースに、フロントエンドの「専用アプリ」や「Googleウォレット(Goole Pay)」が動くという仕組みになっています。
すなわち、おサイフケータイアプリは、フロントエンドのアプリの下で、スマホと専用リーダーで情報のやりとりをする、近距離無線通信技術のFeliCaをコントロールする黒子のような役割を果たしていると言えます。なので、おサイフケータイアプリを削除すると、電子マネーやモバイル乗車券などは、その仕組み上、使えなくなります。
おサイフケータイの沿革
おサイフケータイの沿革は、すなわち、モバイルFeliCaの沿革であり、実は、iPhoneのApple Payとも関係があります。
・2004年:NTTドコモが最初のおサイフケータイ対応端末を発売(iモードで、Mobile Edyを提供開始)
・2005年:QUICPay、IDがモバイルFeliCaに対応
・2006年:モバイルSuicaが開始
・2007年:nanacoとWAONがモバイルFeliCaに対応
・2010年:おサイフケータイ対応のAndroid端末が発売
・2016年:Appleが「Apple Pay」を提供開始(モバイルSuica、iD、QUICPayがApple Payに対応)、Googleが「Android Pay(現:Google Pay)」を提供開始
◎ガラケー時代からあった、モバイルFeliCaの仕組みが、2010年におサイフケータイ対応のAndroid端末の発売に伴い、スマホにおいて、FeliCaアプリとして提供され、また電子マネーやモバイル乗車券などの専用アプリが、FeliCaアプリの上で動くという仕組みになった。
◎フロントエンドのアプリに、「専用アプリ」と「Gooleウォレット(Goole Pay)」の二つがあるのは、専用アプリが先に登場し、後からGoole Payが登場したため。また、Goole Payのアプリは、後発のため、おサイフケータイアプリのFeliCa機能を使う形で開発された。
おサイフケータイとiPhoneの関係
iPhoneでは、おサイフケータイという概念も、おサイフケータイアプリもありませんが、一方で、Android端末と同様、iPhoneのApple Payでも、電子マネーやモバイル乗車券などが利用できます。これについては、実は、iPhoneにも、おサイフケータイと同様、FeliCaが搭載され、またFeliCaをコントロールするソフトウェアが組み込まれているからです。
iPhoneが、Android端末と大きく違うのは、おサイフケータイアプリの提供元である、フェリカネットワークスなどが、FeliCaをコントロールするソフトウェアの開発に協力して、iPhoneの中のソフトウェアとして内製化しているからです。また、Android端末と同様、iPhoneにも、フェリカネットワークスのモバイルFeliCaの技術とプラットフォームが採用されています。
おサイフケータイのサービス内容
おサイフケータイは、Android端末において、FeliCaの近距離無線通信技術を使って、スマホと専用リーダーで情報のやりとりをする非接触方式のサービスとなっており、現在、具体的なサービスとして、3つほど紹介したいと思います。
電子マネー
おサイフケータイでは、予めお金を電子マネーにすることにより、電子マネーがお札や小銭の代わりになるので、レジでスマホをかざすだけで支払いがスピーディーにできます。現在、おサイフケータイで利用できる電子マネーには、楽天Edy、WAON、nanaco、iD、QUICPay、Mobile Starbucks Card、モバイルSuica、モバイルICOCA、モバイルPASMOの9つがあります。
乗車券やチケット
おサイフケータイでは、電車や飛行機で、乗車券やチケットの代わりになるので、駅の改札機や空港の搭乗ゲートの機器にスマホをかざすだけで乗ることができます。現在、電車の乗車券として利用できるものには、モバイルSuica、モバイルICOCA、モバイルPASMOの三つがあります。また、飛行機の航空券として利用できるものには、JALタッチ&ゴーサービスがあります。
会員証やポイントカード
おサイフケータイでは、会員証やポイントカードをスマホの中にまとめることができます。現在、おサイフケータイの中に入れられるものには、モバイルdポイントカード、ゴールドポイントカード、ローソンモバイルPonta、モバイルTカード、ビックポイントケータイ、FeliCaポケットモバイルがあります。
おサイフケータイの利用設定
おサイフケータイで電子マネーを利用するにあたっては、各電子マネーの「専用アプリ」と、共通アプリの「Googleウォレット」で設定するといった二つのやり方があります。
一般に各電子マネーの「専用アプリ」では、様々な機能が提供されており、また情報提供もあるので利便性が高いです。これに対して、共通アプリの「Gooleウォレット」では、機能面はシンプルですが、複数の電子マネーが一元管理できるようになっています。
◎おサイフケータイでは、電子マネーを設定する場合、Mobile Starbucks Cardを除き、各電子マネーの「専用アプリ」または「Gooleウォレット」で利用設定をすると、おサイフケータイアプリに自動反映される(マイサービス欄に登録される)。
◎おサイフケータイアプリには、残高表示や設定機能、お知らせ機能などがあるが、一方で、チャージ機能はない。また、おサイフケータイアプリでは、メインカードの切り替えやロック設定などを除き、設定することがあまりない。
おサイフケータイの注意点
最後に、おサイフケータイの注意点について、4つほど簡単に説明したいと思います。
おサイフケータイの対応機種
おサイフケータイを利用するにあたっては、FeliCaの入った、Androidのスマートフォンが必要です。また、具体的な対応機種については、携帯電話会社のウェブサイトで確認できます。
おサイフケータイのスマホの状態
おサイフケータイにおいて、電子マネーの支払時のスマホの状態は、支払いで端末(専用リーダー)にかざす際に、特に不具合がなければ、スリープを解除したり、ロックを解除したり、アプリを起動したりする必要はありません。
また、おサイフケータイのスマホ決済は、基本的には、電子マネーを使うものなので、例えば、「Suicaで」、「nanacoで」といったように、自分が何の電子マネーを使うのかを言う必要があります。
おサイフケータイのセキュリティー対策
日常的なセキュリティー対策では、スマートフォンでの「おサイフケータイロック」があります。また、紛失・盗難発生時の対応では、一部の携帯電話会社や一部の機種において、遠隔操作でのおサイフケータイロック機能が提供されています。なお、紛失・盗難発生時には、電子マネーのサービス提供者にも、すぐに連絡することが必要です。
おサイフケータイの機種変更・修理時の対応
機種変更や故障修理などにより、利用しているおサイフケータイを変更する場合は、サービス毎に所定の手続きが必要になります。この場合、主な手続きとしては、旧機種からデータの預け入れを行って、新機種で受け取るパターン、旧機種から情報を削除して、新機種で再度設定するパターン、事前の手続きは不要で、新機種で再度設定するパターンの3つがあります。