包括利益

読み方: ほうかつりえき
英語: Comprehensive income
分類: 企業会計

包括利益は、企業の純資産の変動額のうち、持分所有者(出資者)との直接的な取引によらない部分をいいます。これは、企業の最終的な儲けである当期純利益に、有価証券の評価損益や保有土地の含み損益、退職給付に係る調整額、外貨換算調整額など、資産価値の増減を加えた「総合的な利益指標」となっています。

ここでは、2011年3月期から日本に導入された「包括利益」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

包括利益の定義

包括利益は、2010年6月30日に公表された企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」によると、以下のように定義されています。

「包括利益とは、ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分をいう」

包括利益と当期純利益の関係

当期純利益は、ある企業(会社)が一定期間の本業及び本業に付随する事業も含めた事業活動から獲得された価値の増加分なのに対して、包括利益は、一定期間における会社の純資産の増加分(資本取引以外による純資産の変動額)を表し、以下のような関係が成り立っています。

包括利益=当期純利益+その他の包括利益

その他の包括利益とは何か

その他の包括利益とは、「Other Comprehensive Income(OCI)」とも呼ばれ、包括利益のうち、当期純利益に含まれない部分をいいます。

具体的には、当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)及び少数株主損益(非支配株主に帰属する当期純利益)に含まれない部分を指し、また連結財務諸表におけるOCIには、親会社株主に係る部分と少数株主(非支配株主)に係る部分が含まれます。

<OCIの具体例>

・その他有価証券評価差額金
・繰延ヘッジ損益
・退職給付に係る調整額
・外貨換算調整額
・未実現デリバティブ評価損益
・持分法適用会社に対する持分相当額
・保有土地の含み損益 他

包括利益の意義(開示の目的)

包括利益の開示は、国際会計基準(IFRS)へのコンバージェンスの一環として求められるようになったもので、当期純利益に関する情報と併せて利用することにより、企業活動の成果についての情報の有用性を高めることを目的としています。また、以下のような効果も期待されています。

・決算操作の余地をなくすことで企業実態の透明性を高める
・会社の利益を市場のリスク動向に合った実態として把握できる
・財務諸表の利用者が企業全体の事業活動を検討するのに資する
・財務諸表の理解可能性と比較可能性を高める

包括利益の表示

包括利益を表示する計算書は、当期純利益と包括利益を分離して表示するか、まとめて表示するかにより、以下の二通りの方法が認められています。

●2計算書方式

当期純利益を表示する「損益計算書」と、包括利益を表示する「包括利益計算書」からなる形式。

●1計算書方式

当期純利益の表示と包括利益の表示を一つの計算書「損益及び包括利益計算書」で行う形式。

なお、包括利益を表示する計算書の開示は、現時点では、連結財務諸表のみに義務付けられ、個別財務諸表への適用は留保されています。また、会社法においては、開示は任意とされています。(現状では、包括利益の表示は、上場企業の連結財務諸表に限定されている)