流動性の罠
読み方: | りゅうどうせいのわな |
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英語: | Liquidity trap |
分類: | 概念 |
流動性の罠は、様々な解釈がありますが、簡単に言えば、名目金利にもはや低下余地が無い状況をいいます。
現在、ケインズ経済学を解釈した英国の経済学者ジョン・ヒックス(John Richard Hicks、1904/4/8-1989/5/20)の概念が広く知られており、金利水準が異常に低い時は、貨幣と債券がほぼ完全に代替となってしまうため、いくら金融緩和を行っても景気刺激策にならないという状況を指します。
また、用語解説などでは、金融緩和により利子率が一定水準以下に低下した場合、投機的動機に基づく貨幣需要が無限大となり、通常の金融政策が効力を失う状況と記されることもあります。
一般に景気後退時の対策として、金融緩和を行うと利子率が低下することで民間投資や消費が増加するとされますが、一方で投資の利子率の弾力性が低下すると金融緩和の効果が低下し、さらに利子率を下げ続けて一定水準以下になると、「流動性の罠」が発生すると言われます。
具体的には、金融当局の政策意図とは異なり、超低金利であるにもかかわらず、民間金融機関などに資金が大量に滞留し、資金が民間金融機関から貸出として企業や個人など民間部門に流れ込まず、設備投資や在庫投資、住宅建設、個人消費などが増える状況になりません。
なお、このような状況に陥った場合、従来の金融政策は効かなくなり、量的緩和やマイナス金利などの非伝統的なオペレーションが実施され、また大規模な財政政策が発動されることもあります。
<ケインズの「流動性の罠」>
長期金利が極限まで低下し、そこから先はむしろ金利上昇やキャピタルロスを恐れて、人々が長期債投資よりも貨幣を保有することを選好するというもの。