SCPパラダイム
読み方: | えすしーぴーぱらだいむ |
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英語: | Structure-conduct-performance paradigm |
分類: | 市場 |
SCPパラダイムは、市場構造(Structure)と市場行動(Conduct)が、市場成果(Performance)を決めるという考え方をいいます。
産業組織論の体系化に貢献したハーバード学派が依拠した基本的分析枠組で、競争の有効性や資源配分の効率性などの市場成果が、現実には、どのようなメカニズムによって保証されるのか、あるいは損なわれるのかを考察するものです。また、「市場構造→市場行動→市場成果」という因果関係があるとするアプローチとなっています。
|市場構造(Structure)|
売り手と買い手の数、製品の差別化、参入障壁、垂直・水平統合度など、市場の競争条件を決める構造的なもの。
|市場行動(Conduct)|
価格・製品政策、設備投資、協調・結託など、市場に参加する経済主体(特に売り手である企業)がとる様々な行動。
|市場成果(Performance)|
利潤率、生産・配分効率、技術進歩、分配公正など、社会的公正の立場から見た市場の成果を示すもの。
本来、SCPパラダイムは、社会福祉を改善するために、政府がいかなる政策を取ればよいかを分析するために開発されたもので、元々の指標は社会成果であり、業界の収益性ではありませんでした。それゆえ、SCPパラダイムでは、上記に加えて、「公共政策」という項目が重要な位置を占めていました。
一方で、SCPパラダイムの基本的な考え方は、戦略的経営における業界分析に多大な影響を及ぼし、その最も有名なものとして、1980年にマイケル・ポーターが考案した「ファイブフォース分析(Five Forces)」があります。
ファイブフォース分析とは、売り手の交渉力、買い手の交渉力、競争企業間の敵対関係、新規参入業者の脅威、代替品の脅威といった、5つの要因が業界全体の収益性を決めるというものです。