デット・デット・スワップ(DDS)

英語: Debt Debt Swap
分類: 企業再建

デット・デット・スワップ(DDS)は、債権者が既存の債権を別の条件の債権に変更することをいいます。これは、現在、いくつかある企業再生手法の中で比較的実行しやすく、主に経営難に陥った中小企業などの再生手法として利用されています。

ここでは、企業再生手法の一つである「デット・デット・スワップ(DDS)」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

デット・デット・スワップ(DDS)の概要

「デット・デット・スワップ(DDS)」と言った場合、通常、銀行等の金融機関が既存の貸出債権を他の一般債権よりも返済順位の低い「劣後ローン」に切り替える手法を指します。

具体的には、対象企業の過剰債務状態を解消して財務面の再構築を図り、再建可能性を高めるために、金融機関が合理的かつ実現性の高い再建計画と一体で、対象企業に対して有する既存の貸出債権を劣後化することで、実質的に対象企業の財務状態を改善して信用力や再建可能性を高める仕組みとなっています。

企業から見た「DDS」の劣後ローン

デット・デット・スワップ(DDS)を利用する対象企業から見た場合、従来の借入金が劣後ローンに変更されるだけで、債務(Debt)自体は何ら変わらないですが、一方で劣後化されることで、実質的に債務の返済期限を後回しにでき(一定期間は元本返済が猶予され)、資金繰りが改善されるなどの利点があります。

金融機関から見た「DDS」の劣後ローン

デット・デット・スワップ(DDS)を実行する金融機関から見た場合、劣後ローンであれば、将来的に元本回収が可能であり、また一定の要件下において、貸出債権を劣後ローンに変更した場合、金融機関の自己査定における債務者区分等の判断において、これを資本とみなすことができるなどの利点があります。

※劣後ローンは、その性質として資本性が高く、金融庁が資本の一部としてみなすことを認めれば、金融機関にとっては、それに見合うだけ貸出債権が目減りすることになり、貸倒引当金を積み増す必要もなくなる。

DDSとDESの違いは?

経営危機に陥った過剰債務の企業を再建する手法として、「デット・デット・スワップ(DDS)」の他に、「デット・エクイティ・スワップ(DES)」という手法もあり、DDSとDESの違いは以下のとおりです。

DDSについて

DDSは、債権者(金融機関等)が、既存の債権(貸付金等)を、劣後ローン等の別の条件の債権に変更することをいいます。この場合、債権・債務としては、そのまま残るため、債務者(企業側)は、返済義務を引き続き負いますが、一方で返済面の条件が劣後化することで、実質的には財務状態が改善されます。

DESについて

DESは、債権者(金融機関等)が、債務者(企業)の債務を免除する代わりに、その企業の株式を取得することをいいます。この場合、企業側は、負債が資本に変わるため、財務状態が改善される一方で、債権者側も、単なる債権放棄とは異なり、企業の株式を取得して経営に関与できます。

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