リングフェンス
英語: | Ring-fence、Ringfencing |
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分類: | 金融規制 |
リングフェンスは、企業等の組織体において、ある特定の部門の資金を完全に分けて、他の部門とは別扱い(分離)することをいいます。
金融業界においては、2019年から英国で本格的に実施された、リテール銀行を投資銀行や商業銀行と分離する「リテール・リングフェンス規制」が知られており、その背景として、2000年代後半の世界金融危機の影響で、英国の大手四行中の二行が国有化され、従来の金融機関の監督体制や破綻処理制度、預金保険制度に不備があったとの反省がありました。
具体的には、投資銀行や商業銀行、リテール銀行など様々な業務部門を抱える大手銀行グループを対象に、各部門での資金の出入りを明確に区分けして、各業務間の融通をできなくするものとなっています。実際、リテール銀行を「リングフェンス」で別会社化しておけば、個人預金者を公的資金を使って保護する必要がなくなる一方で、リテール銀行で預け入れられた資金が投資銀行等の資金として使用されることも避けられます。
なお、リングフェンスという仕組みは、金融業界で使われる前に、既に石油会社や破綻会社などでも使われています。
◎1975年に英国で制定された石油税法では、英国の石油会社に対して、北海油田の採掘事業(上流部門)からの莫大な利益を、石油精製や販売などの事業(下流部門)の損失で相殺して節税できないようにするために、採掘部門を「リングフェンス」とすることを義務付けた。
◎1990年代の米国において、カリフォルニア州の経営難に陥った電力会社が、その一部門を「リングフェンス」化して、生き残らせることに成功した。