アジアインフラ投資銀行(AIIB)

読み方: あじあいんふらとうしぎんこう
英語: Asian Infrastructure Investment Bank(AIIB)
分類: 国際機関

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、中華人民共和国が主導する、アジア太平洋地域のインフラ整備を支援する国際金融機関をいいます。

2013年10月に習近平国家主席が創設を提唱したもので、世界第2位の経済大国になった中国が、アジア開発銀行(ADB)など既存の国際機関で発言力の向上が進まないことへの不満や中国企業の海外進出の思惑などから、独自の構想で世界を動かし、2015年12月に発足させました。

現在、中国は「一帯一路(陸と海の両方から中国と欧州を結ぶシルクロード経済圏構想)」を提唱・推進しており、この構想を実現するためのインフラ整備の金融支援の役割を、AIIBが担うと期待されています。

目次:コンテンツ構成

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の基本事項

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、アジア太平洋地域のインフラ整備を支援する国際金融機関です。

・本部:中華人民共和国(北京)
・発足:2015年12月25日
・資本金:1000億ドル(中国が最大拠出国)
・事業内容:新興国のための国際投資機関
・初代総裁:中国の元財務官・金立群氏
・格付け:ADBと同じ最上位の格付けを付与

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の経緯(参加動向)

長年、深刻な投資資金の不足に悩むアジア諸国にとっては、立ち遅れたインフラ整備を支援するという提案を拒否する理由が全くなく、2015年初めまでは、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の参加国の大部分が支援を受ける側のアジア諸国で、先進国や富裕国で名を連ねるのは一部にとどまっていました。

その動向が変わったのは、2015年3月12日に日米欧のG7(主要7カ国会議)で、初めて英国が参加方針を発表し、その後、ドイツやフランス、イタリアなども参加方針を発表しました。これにより、欧州の先進国が参加することで、AIIBの本格的な(信用力のある)国際機関としての体裁が整いました。

◎欧州勢のAIIBへの参加背景には、中国の積極的な働きかけがあり、また日米に比べて中国への警戒感が薄く、AIIBへの関与が成長市場のアジアでのビジネス拡大の好機になるという経済的実利があった。

◎既存のアジア開発銀行(ADB)を主導してきた日本や米国は、中国のアジア地域への影響力が強くなることを懸念すると共に、AIIBの組織運営や意思決定プロセス、審査基準などが不透明などとして距離を置いている。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーと加盟状況

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、2015年12月に57カ国を創設メンバーとして発足し、その後、欧州やアジア、アフリカ、中南米など、加盟申請する国が増えており、2022年5月時点で105カ国・地域に拡大しました。(下記は創設メンバー国)

アジア:19カ国

中国、韓国、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス、インド、バングラデシュ、モルディブ、モンゴル、ネパール、パキスタン、スリランカ

旧ソ連:7カ国

ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、アゼルバイジャン、キルギス、グルジア

オセアニア:2カ国

オーストラリア、ニュージーランド

中東:9カ国

サウジアラビア、カタール、オーマン、クウェート、UAE、ヨルダン、トルコ、イスラエル、イラン

アフリカ:2カ国

エジプト、南アフリカ

欧州:17カ国

英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、スイス、ルクセンブルク、オーストリア、オランダ、デンパーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド、ポーランド、マルタ

中南米:1カ国

ブラジル

※現在、G20で非加盟国は、日本と米国とメキシコだけ。

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