トリレンマ
英語: | Trilemma |
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分類: | 概念 |
トリレンマ(Trilemma)は、三つの解決策または選択肢がある中、どれも受け入れられないような状況をいいます。
好ましくない三者択一を迫られる窮地に追い込まれることであり、「tri(三つ)」と「dilemma(ジレンマ:好ましくない二者択一を迫られる窮地)」から作られた用語です。
また、上記より好ましくないものが、2択の時は「dilemma」、3択の時は「trilemma」で、さらに4択の時は「tetralemma(テトラレンマ)」、5択の時は「pentalemma(ペンタレンマ)」・・・と続きます。
目次:コンテンツ構成
国際金融のトリレンマ
国際金融のトリレンマ(Impossible Trinity)とは、(1)自由な資本移動、(2)金融政策の独立性、(3)為替相場の安定、という3つの目標を同時に達成することは不可能であり、このうち2つの目標しか選択できず、必ずどれか一つをあきらめなければならないことをいいます。
1980年代から徐々に認知されるようになった国際金融論上の一説で、その理論的背景には「マンデル=フレミング・モデル(開放マクロ経済学のモデル)」があります。
(1)の自由な資本移動をあきらめた代表例は、為替相場の乱高下を避けつつ、自国の金融政策の独立性を守ることを選択した中華人民共和国。
(2)の金融政策の独立性をあきらめた代表例は、単一通貨のユーロを採用したユーロ圏内の国々。
(3)の為替相場の安定をあきらめ、変動相場制を採用したのが、今日の大半の先進国と一部の新興国。
政治経済のトリレンマ
政治経済のトリレンマとは、「世界経済の政治的トリレンマ」とも呼ばれ、(1)グローバル化(国際経済の統合)、(2)国家主権(国家の自立)、(3)民主主義(個人の自由)、という3つの政策目標・統治形態のうち、一度に2つは達成(実現)できるものの、3つを全て実現することはできないことをいいます。
本概念は、トルコ出身の政治経済学者であるダニ・ロドリックが「国際金融のトリレンマ」に政治経済を当てはめたもので、またロドリックは、これら3つの中で、どの2つを選択するかによって、世界の政治経済の潮流が決まると唱えています。