イギリス病(英国病)

読み方: いぎりすびょう
英語: British disease
分類: 英国

イギリス病は、「英国病」とも呼ばれ、第二次世界大戦後に英国で起こった、社会・経済の長期にわたる停滞現象をいいます。

特に1960年代から1980年代の状況を指し、具体的には、工業生産や輸出力の減退、勤労意欲の低下、慢性的なインフレ、国際収支の悪化、それに伴う英ポンドの下落、および、これらの問題に対処できない英国特有の硬直性を総称したものとなっています。

その要因として、充実した社会保障制度、基幹産業の国有化、固定的な階級制度、労働力の不足、労働組合のストライキ、保守的な経営による合理化の遅れなど、英国固有の社会的要因が背後にあり、これらが複合的に作用して停滞を招いたと言われていますが、明確には解明されていません。

一般にイギリス病の克服の転機となったのは、北海油田の開発(原油生産国への転換)と、サッチャリズムの構造改革(サッチャー政権の新自由主義に基づいた経済政策)と言われていますが、サッチャー政権時代には、経済を一時建直したものの、イギリス病の克服までは至りませんでした。

なお、英国が本格的に復興したのは、1990年代初頭のリセッション後で、1992年7-9月期以降、2008年4-6月期までの64四半期(16年間)にわたり連続してプラス成長を続け、この期間中の2001年にブレア政権が「イギリス病克服宣言」を行いました。

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