流動性リスク
読み方: | りゅうどうせいりすく |
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英語: | Liquidity risk |
分類: | リスクとリターン |
流動性リスクは、「リクイディティリスク」とも呼ばれ、資産運用における「市場流動性リスク」と金融機関における「資金流動性リスク」の総称をいいます。これは、マーケット(市場)において、何らかの要因により流動性の問題が発生した場合に、市場での取引が困難になることによって生じるリスクを指します。
目次:コンテンツ構成
資産運用における「市場流動性リスク」
資産運用における「市場流動性リスク」は、マーケット(市場)の混乱等により、市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされたりすることによって損失を被るリスクをいいます。
市場流動性リスクの分類と特色
市場流動性リスクは、大きく分けて、市場性があまりない商品自体によるものと、異常事態の市場状況によるものとがあり、一般的には、市場で売買される量が極端に少なかったり、市場がクラッシュ(大暴落)したり、また戦争や自然災害などで突然取引ができなくなったりした場合に起こることがあります。
<市場流動性リスクの特色>
・市場規模が小さいほど、リスクが大きくなる
・市場規模と比べて大きな資金を運用する投資家が存在するほど、リスクが大きくなる
・市場において買い手が偏るほど、リスクが大きくなる
市場性があまりない商品の市場流動性リスク
市場性があまりない商品の市場流動性リスクは、マーケットで取引高が少ないため、換金しようと思った時に、すぐに売れなかったり、希望した価格で売れなかったりするリスクをいいます。主な対象として、株式や債券、コモディティなどの一部の銘柄が該当します。
●株式の場合
市場に出回る絶対量や取引量が少なく、人気薄の状態にある銘柄に起こったり、不祥事や経営危機などが原因で売りが殺到して取引が成立しない(値がつかない)銘柄に起こったりする。
●債券の場合
上場する国債等を除けば、全体として流動性が高いとは言えず、償還期限前に売ろうとした場合に、すぐに売れない銘柄や不利な価格になる銘柄に起こったりする。
金融機関の「資金流動性リスク」
金融機関の「資金流動性リスク」は、簡単に言えば「資金繰りリスク」のことで、金融機関において、運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出などにより、必要な資金確保が困難になったり、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされたりすることによって損失を被るリスクをいいます。
一般に金融機関にとって、資金流動性リスクは、すぐに経営危機に直結するため、日々の指標となるガイドラインの設定や流動性の補完体制、コンティンジェンシープランの策定、流動性ストレステストの実施など、全社(経営)レベルでリスク管理を行っています。
金融機関での資金流動性リスクの定義例
金融機関では、資金流動性リスクについて、「運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出等により、決済に必要な資金調達に支障をきたしたり(資金繰りがつかなかったり)、通常より著しく高い金利での調達を余儀なくされたりするリスク」などと定義しています。
資金流動性リスク管理の重要性
◎金融機関は、業務の特質上、資金の運用と調達の期間の相違(ミスマッチ)に起因する流動性リスクを本質的に抱えている。
◎たとえ自己資本が充実していても、異常時の流動性の逼迫は金融機関の経営の根幹を揺るがしかねない。
◎一つの金融機関に生じた流動性不足が金融システム全体に波及すれば、金融仲介機能に悪影響を及ぼす可能性がある(システミックリスクが起こる可能性がある)。
◎適切な流動性リスク管理は、金融機関の安定的な経営の実現にとっても、また金融システムの安定性維持にとっても、極めて重要である。