サブスクリプション(サブスク)

英語: Subscription
分類: 支出

サブスクとは、「サブスクリプション(subscription)」の略で、特に明確な定義はありませんが、敢えて言うなら、ある商品やサービスを、月額や年額の定額課金制(一定額)で、一定期間、オトクに利用できる仕組みと言えます。

これは、原義の英語(subscription)では、定期購読や会費といった意味があり、日本でも古くから、この仕組みを用いたものとして、新聞購読や雑誌購読、牛乳配達などがあります。

一方で、カタカナの「サブスク」という言葉が、日本で広く使われるようになったのは、動画配信や音楽配信、電子書籍配信など、デジタルコンテンツの定額制の使い放題サービスが普及した、2010年代後半頃からです。

昨今では、サブスクと言った場合、デジタルコンテンツだけでなく、洋服やバッグ、ジュエリー、家具、家電、自動車、食品、飲料、花、美容室、ホテル、住居など、様々なタイプのものがあり、また中には、サブスクと知らずに使っていることもあります。

目次:コンテンツ構成

サブスクの背景と仕組み

サブスクリプション(サブスク)を利用する上で、サブスクが普及した背景と、サブスクの基本的な仕組みについて、簡単に説明したいと思います。

サブスクが普及した背景

サブスクが普及した背景として、大きく、3つほど挙げられます。

一つ目は、インターネットの普及と情報技術(IT)の発展により、デジタルコンテンツが、ネットで効率的に配信できるようになったことがあります。また、様々なサブスクを行う事業者が、ネットで顧客と電子化した取引が簡単にできるようになったこともあります。

二つ目は、モノ消費からコト消費と言われるように、多くのモノを持つという豊かさよりも、日常生活の充実を重視したり、体験面(購買体験・利用体験)の豊かさを重視したりする人が増えてきたという、消費者の価値観の変化もあります。

三つ目は、ネット通販の普及により、様々なモノを素早く、的確に配送できるという、物流面の発展があります。これにより、食品や飲料、お酒、洋服、化粧品、花など、定期的に商品を届けるサブスクも増えました。

サブスクの基本的な仕組み

現在、サブスクには、様々な仕組みがありますが、いずれにおいても共通するものとして、月額や年額などの定額制の支払いを行うことで、一定期間、何らかのメリット(経済的なお得感)のある「権利」を得られて利用できることです。また、その権利については、例えば、使い放題、定期的なレンタル、定期的な商品配送などが挙げられます。

一般にサブスクは、自分で契約を解除しない限り、ずっと継続されるので、長く使えば、結構な金額になります。また、サブスクの料金は、毎月発生するものが多いため、クレジットカード決済、キャリア決済、コンビニ決済のいずれかの方法で支払うのが一般的で、この中でクレジットカード決済が一番よく利用されています。

サブスクの種類

サブスクリプション(サブスク)は、元々は、新聞や雑誌などの定期購読が源流ですが、昨今、サブスクと呼ばれているものについては、企業目線ではなく、ユーザー目線で、利用するユーザーの必要としている部分(ニーズ)に注目し、そこに応える付加価値を用意しています。

一般にサブスクと言った場合、動画配信や音楽配信などのデジタルコンテンツのサブスクを思い浮かべることが多いですが、昨今では、様々なタイプがあり、実際、サブスクと気づかずに利用していることもあります。

デジタルコンテンツのサブスク

デジタルコンテンツのサブスクは、月額制や年額制で、デジタルコンテンツがスマホやパソコンなどで、使い放題利用できるサービスです。これには、動画配信、音楽配信、電子書籍、ゲームなどがあります。

●動画配信

Netflix、Hulu、disney+、U-NEXT、DAZN(スポーツ専門)、YouTube Premium(YouTube)他

●音楽配信

Spotify、Apple Music、Amazon Music Unlimited、LINE MUSIC 他

●電子書籍

Kindle Unlimited、auブックパス、dマガジン、コミックシーモア、まんが王国 他

●ゲーム

PlayStation Plus、Nintendo Switch Online、Xbox Game Pass 他

ソフトウェアのサブスク

ソフトウェアのサブスクは、月額制や年額制で、一定期間、ソフトウェアを使用する権利を得られるサービスです。これは、ソフトウェアの使用以外に、バージョンアップやサポートなども受けられ、現在、代表的なものとして、Adobe Creative Cloud、Microsoft 365などがあります。

また、スマホのアプリの使い放題のサブスクもあり、これには、NTTドコモの「スゴ得コンテンツ」、auの「スマートパス」などがあります。

ネットサービスの会員向けのサブスク

ネットサービスの会員向けのサブスクは、大手のネット企業が会員向けに、月額制や年額制で提供する、付加価値のある有料サービスです。

具体的には、AmazonプライムやYahoo!プレミアムなどの会員特典を充実させたサブスク、Google DriveやDropboxなどのクラウドのサブスク、Chat GPT Plusなどの高機能AI(人工知能)のサブスクなどがあります。

<Amazonプライムについて>

迅速で便利な配送特典の他に、プライム会員特典に含まれる、Prime Video、Amazon Music Prime、Amazon Photos、Prime Readingなどのデジタル特典を追加料金なしで使える、会員制の有料プログラム。

レンタル型のサブスク

レンタル型のサブスクは、月額制や年額制などで、日常生活に必要なモノをレンタルできるサービスです。これには、洋服、ブランド品、家具・家電、子ども用品、アートなどがあり、昨今では、様々なモノが気軽に利用できるようになっています。

この中で、洋服のサブスクは、人気のあるサブスクの一つで、サブスクによっては、プロのスタイリストがコーディネートしてくれるものもあります。また、サブスクによっては、気に入ったものを買い取れるものもあります。

●洋服のサブスク

airCloset、MECHAKARI、EDIST.CLOSET、Rcawaii、Brista

●ブランド品のサブスク

Laxus(ブランドバック)、KIRA SHARE(ブランドジュエリー)

●家具・家電のサブスク

CLAS(家具・家電)、サブスクライフ(家具・家電)

●子ども用品のサブスク

And TOYBOX(おもちゃ、知育玩具)、Kutoon(子ども靴)

●アートのサブスク

Casie(絵画)

クルマのサブスク

クルマのサブスクは、毎月、定額の料金を支払うことで、車を所有するのではなく、選んだ車を借りて使用できるサービスです。これには、保険や税金、メンテナンス代など様々な費用が全て含まれており、新車が主体のものもあれば、中古車が主体のものもあります。また、乗り換えプランなどを利用すれば、契約期間中に他の車への乗り換えもできるようになっています。

一般にクルマのサブスクには、メーカー系のサブスクとメーカー系以外のサブスクの二つがあり、各社でサービス内容が異なります。一方で、いずれのサービスも、面倒な手続きが少なく、またサポート体制も充実しているので、昨今では、クルマの乗り方の一つの選択肢になっています。

●メーカー系のサブスク

KINTO(トヨタ)、ClickMobi(日産)、Honda ON、スズキ定額マイカー、SUBARUサブスクプラン 他

●メーカー系以外のサブスク

ENEOS新車のサブスク、コスモMyカーリース、SONPOで乗ーる、MINT、カルモ、ニコノリ、ノレル、カースク 他

定期購入型のサブスク

定期購入型のサブスクは、月額制や年額制などで、いくつかのプランの中から、定期的にニーズのある商品が宅配されるサービスです。

これには、食品やサプリ、飲料、アルコール、花、コスメ、香水など様々なものがあり、通常、商品が厳選されていたり、割安になっていたり、新たな商品と出会えたりというように、何らかの付加価値が提供されています。

●食品のサブスク

Oisix(食材)、nosh(冷凍食品)、GREEN SPOON(ヘルシーミール)、おもいのフライパン(お肉)

●サプリのサブスク

サプスク、DHC、Suppleno

●飲料のサブスク

ヤクルト、PostCoffee

●アルコールのサブスク

KURAND CLUB(日本酒)、THE STELLA(ワイン)

●花のサブスク

bloomee、Hitohana

●コスメのサブスク

BLOOMBOX、RAXY

●香水のサブスク

COLORIA

店舗型のサブスク

店舗型のサブスクは、ある商品やサービスについて、定額料金を設定し、価格面で割安になったり、利用し放題になったり、というようなメリットのある、店舗で提供するサブスクです。これには、飲食店や美容院、整体院、接骨院、エステ、マッサージ店などの一部で導入されており、現在、この中で一番身近なのが、飲食店のサブスクです。

飲食店のサブスクには、色々とありますが、現在、代表的なものとして、コーヒーがお得に飲める、コーヒーのサブスクがあります。ちなみに、大手企業では、JR東日本が「JREパスポート」という名称のサブスクを行っています。

サブスクのメリット

サブスクリプション(サブスク)のメリットについて、6つほど説明したいと思います。

おトク感だけでなく、顧客志向の付加価値がある

サブスクによって異なりますが、具体的には、新しい商品やサービスの提供を受けられる、モノを所有せずに済む、専門家が厳選して選ぶ、憧れのものを利用できる、手間を省ける、といったことが挙げられます。

登録や解約の自由度が高い

サブスクは、ネットで申込や解約ができるサービスがほとんどなので、気軽に始められて、継続的に利用しやすいです。その一方で、使わなくなったら、いつでも解約ができます。

購入よりも安価に商品やサービスを利用できる

「所有」ではなく、一定期間「利用」するタイプのサブスクでは、値ごろ感のある定額制のため、購入よりも安価に商品やサービスを利用できます。また、定額制のため、出費や費用が管理しやすいです。

「使い放題」では、コストパフォーマンスが非常にいい

サブスクにおいて、定額制で、見放題、聴き放題、読み放題、遊び放題といった「使い放題」のサービスでは、使う頻度が高いほど、コストパフォーマンスが良くなります。

これまで馴染みのなかった、新たなものと出会える

使い放題のサブスクでは、これまで馴染みのなかったコンテンツも気軽に試すことができるので、新たなジャンルを開拓できることもあります。また、一定のテーマに沿って、定期的に商品が届くタイプのサブスクなら、これまで自分では選ばなかったような商品も届くため、新たな発見や出会いも楽しめます。

無料お試し期間がある

動画配信や音楽配信などのサブスクでは、「無料お試し期間」を設けており、数週間から1カ月程度、無料で利用できるようになっています。これにより、実際に試すことで、自分に合うサービスかどうかを見極めることができます。なお、無料お試し期間終了時に、自動更新で有料プランに移行することもあるので、利用しない場合は忘れずに解約しましょう。

サブスクのデメリット

サブスクリプション(サブスク)のデメリットについて、4つほど説明したいと思います。

毎月、固定費が発生する

サブスクは、手頃な料金で利用できるものが多い一方で、色々と契約すると、結果的に月々の固定費が高額になってしまうこともあります。また、使い放題サービスの場合、全く利用しない月があっても支払いが発生します。そのため、利用頻度の少ないサブスクは解約するなど、定期的に見直しを行いましょう。

不要なコンテンツが含まれている

動画配信や音楽配信、書籍配信などのサブスクの場合、全く興味のないコンテンツも含めた一律の料金を支払う必要があります。実際のところ、興味がなく利用しないものも多いので、無料お試し期間中に、コンテンツを見極めることは結構重要です。

解約すると手元に何も残らない(利用できなくなる)

モノを購入しないサブスクの場合、モノを所有するのではなく、利用するために料金を支払っているので、解約すると手元には何も残りません。

例えば、音楽や動画、書籍などの配信の場合、解約後は、それまでダウンロードしてオフラインで利用できていたファイルも視聴や閲覧ができなくなります。また、服や家具などのレンタルの場合も、解約すれば、手元には残りません。

解約しない限り、契約がずっと続く

ほとんどのサブスクは、自分から解約しない限り、契約がずっと続きます。そのため、利用しなくなったサブスクの解約をし忘れると、不要な費用をずっと支払うことになります。

サブスクの注意点

サブスクリプション(サブスク)を利用するにあたって、4つほど注意点を説明したいと思います。

サブスクの家計支出を認識する

サブスクは、毎月もしくは毎年発生する固定費なので、その内訳を把握すると共に、年間の支出額が妥当かどうかを定期的に見直すようにしましょう。また、利用頻度が高いサブスクでは、月額課金の契約を、年額課金の契約にすると、利用料金が割安になります。

サブスクのリスト(一覧表)を作成する

サブスクは、本人しか利用しているものを知らないと、万一のことがあった場合も、請求が続くことになるので、利用しているサブスクのリストは作成しておいた方がいいです。

サブスクの解約事項を確認する

サブスクは、契約のハードルが低い一方で、解約の仕方が分かりにくいものも多いので、事前に解約の手続きや条件などを確認することが必要です。実際、悪質な事業者の場合、解約時にトラブルになることも多いので、万一困った時は、市区町村に設置されている「消費生活センター」へ相談するとよいです。

サブスクの契約面で手数料や解約金などを把握する

サブスクによっては、基本料金以外の費用がかかることがあるので、契約前にしっかりと確認することが必要です。また、サブスクによっては、最低契約期間が設けられていて、途中解約をすると解約金が発生する場合もあります。

例えば、家具のサブスクの場合は、組立や設置を依頼すると手数料が発生し、また車のサブスクの場合は、途中解約時に解約金を請求されることがあります。

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