移転価格税制

【読み方:いてんかかくぜいせい、分類:税制】

移転価格税制は、本社(親会社)と海外子会社との取引など、内部で国境を越えた国際取引をしている企業に対し、適正に課税するための制度をいいます。

グローバル企業(多国籍企業)などの移転価格(企業グループ内の取引価格)が、通常の取引価格(独立企業間の取引価格)と異なる場合に、通常の取引価格に基づいて所得金額を算出し、適正に課税するものであり、通常、企業内部での取引が適正価格であるかどうかは、税務当局が判断します。

例えば、適正価格が100円の部品を海外子会社から高めの120円で買った場合、差額の20円分の所得が海外(外国)に移ることになります。

移転価格税制の仕組み

移転価格税制では、移転価格と適正価格の差額分に対して本国で課税され、また移転価格が見直されると取引を行った双方の会社の利益額が変化して、一方の国の税額が増加するのに対して、他方の国の税額は減少することになります(差額分には二重課税が生じる)。

そのため、当事者となる両国の税務当局が協議を行って調整し、二重課税を回避する必要があります。

移転価格税制の実施

世界的に企業の多国籍化に伴う内外関連企業間での国際取引の増加や取引形態の複雑化などを背景に、恣意的な価格操作による所得移転を防止するために、国際的な課税ルールに基づいた「移転価格税制」が必要となり、欧米やアジアなどの国々で本制度が実施されています(日本では、1986年から導入)。

移転価格税制への対応

昨今、グローバル企業では、移転価格のリスクを事前に回避するために、本社・海外子会社等のある双方の税務当局において、移転価格の算定方法等について事前に確認を得る「APA(Advance pricing agreement:事前確認制度)」を採用する企業が増えています。

その一方で、法人税率の低い国や地域の子会社に所得を移し、グループ全体としての税負担を軽くしようとする企業も増えており、適正価格の算定などを巡って、企業と国が争うケースも増えています。

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