ミセス・ワタナベ

英語: Mrs.Watanabe
分類: 外国為替市場

ミセス・ワタナベ(Mrs.Watanabe)は、「着物トレーダー」とも呼ばれ、日本の個人投資家のことをいいます。

主に外国為替市場で使われる用語で、資産運用に対する専門知識やノウハウなどを特に持たない、主婦層や会社員などに代表される素人投資家を指し、2000年代半ばの外国為替証拠金取引(FX)が円安でブームだった頃に、その存在感がマーケットでも注目され、使われるようになりました。

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ミセス・ワタナベの由来

2005年から2007年夏頃までの円安局面において、日本の素人投資家がFXでレバレッジをかけ、金利差を狙った外貨買い・円売りの取引(円キャリー取引)を行い、マーケットに大きな影響力を及ぼしました。

当時、家庭の主婦までもが外国為替取引をしていたことに驚いた海外メディアが「Mrs.Watanabe(ミセス・ワタナベ)」を使用し、世界的に知られるようになりました。ちなみに、ミセス・ワタナベ自体は、1990年代の英紙等で既に使われており、特にFXに限って使われるものではないそうです。

なお、本用語のイメージとしては、英国のシティー(金融市場)で、小口の個人投資家を「Aunt Agathas(アガサおばさん)」と呼ぶことに対する日本版的な色合いとのことです。

ミセス・ワタナベの運用手法

ミセス・ワタナベは、運用面では、外貨買いのロングが中心であったため、当時、円安局面では収益を上げられましたが、2007年夏以降のサブプライム問題で円高局面に転換すると一気に厳しくなりました。また、今日でも、米ドル/円や豪ドル/円などを対象とした「ロング中心」なのは、あまり変わっていません。

なお、投機筋がミセス・ワタナベとは逆の売買をすることを「ミセス・ワタナベ狩り」と言い、これまで円高局面で度々狙われ、多くの個人投資家が損を被りました。

ミセス・ワタナベの使用例

ミセス・ワタナベは、現在、素人投資家を指す用語として定着し、例えば、以下のように使われています。また、FX以外に、仮想通貨取引(暗号資産取引)などでも使われることがあります。

・迫る100円突破、ミセス・ワタナベは耐えられるか
・最近の相場では、ミセス・ワタナベが持ち前の逆張り戦略で挑んでいる
・FXを手掛ける個人投資家「ミセス・ワタナベ」が弱気になっている

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