金本位制

読み方: きんほんいせい
英語: Gold standard
分類: 通貨制度

金本位制は、金(Gold)通貨の価値基準とする制度をいいます。これは、貨幣の一単位の価値と一定量の金の価値とが常に等価関係にあるように仕組まれている通貨制度で、狭義には、金貨本位制を指しますが、広義には、金地金本位制と金為替本位制を含めた概念となっています。

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金本位制の仕組み

金本位制は、一国の貨幣価値(交換価値)を金(Gold)に裏付けられた形で金額表示するもので、大きく分けて、金貨本位制、金地金本位制、金為替本位制の3つがあります。また、金貨の流通を伴わない金本位制である、金地金本位制と金為替本位制を総称したものを「金核本位制」と言います。

金貨本位制について

金貨本位制は、金そのものを貨幣として実際に流通させる、金貨を本位貨幣とする制度をいう。金の自由鋳造、自由溶解、自由輸出入によって、貨幣供給が自動的に調節される。

金地金本位制について

金地金本位制は、金貨の代わりに兌換銀行券や補助鋳貨などを流通させ、請求があれば、金貨や金地金によって兌換を行う制度をいう。通常、通貨当局が金を集中保有し、国際的流通手段・支払手段として機能させる。

金為替本位制について

金為替本位制は、国内では本位貨幣が発行されずに金為替(金本位国あてに振り出される外国為替)によって兌換が行われ、一方で、この金為替を金貨本位制や金地金本位制を採用している国の通貨に結びつけて、自国通貨と金との間に間接的な等価関係を維持する制度をいう。

金本位制の歴史

金(Gold)は、古代から世界各地で貨幣として用いられてきましたが、近代の金本位制は、1816年に英国で初めて採用され、スタートしました。そして、世界経済が大きく発展する中、二つの世界大戦を経て、1971年のニクションショック(ドルと金の交換停止)が契機となり、1978年のキングストン合意の発効により、終焉を迎えました。

◎1816年に英国で法律に基づき金本位制を採用したのが始まり(1817年に1ポンドのソブリン金貨を発行)。

◎その後、欧州諸国が追随し、19世紀末には、ロンドンのシティを中心とした国際金本位制が確立した。日本は、1897年に金本位制を採用し、金0.75g=1円と定めた。

◎100年近く続いた金本位制は、1914年に始まった第一次世界大戦により中断し、金の保有量とは関係なく中央銀行の管理の下、自国の経済に見合った貨幣を発行する「管理通貨制度」に移行した。

◎第一次世界大戦後、1919年に米国が金本位制に復帰したのを皮切りに、再び各国が金本位制に復帰したが、1929年の世界恐慌により再び機能しなくなった。

◎金本位制が崩壊する一方、世界的に貿易が活発になっていく中、一部の先進国は植民地を中心としたブロック経済を作り出し、このブロック経済が第二次世界大戦を引き起こす要因の一つとなった。

◎第二次世界大戦後、多くの国が疲弊する中、米国は世界一の金保有量を誇り、金・ドル本位制を中心としたブレトンウッズ体制が創設された。

◎1971年にニクソンショックにより、金と米ドルの兌換が停止され、また1973年までに変動相場制に移行する形で、先進国の通貨は金本位制が有名無実化する形で離脱することになった。

◎1976年にキングストンで開催されたIMF暫定委員会において、変動相場制の採用と金・ドル本位制の廃止が確認され、1978年に協定の発効に伴って金本位制は終焉した。

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