第2次金融商品市場指令(MiFID2)

読み方: だいにじきんゆうしょうひんしじょうしれい
英語: Markets in Financial Instruments Directive 2
分類: 金融規制

第2次金融商品市場指令(MiFID2)は、2018年1月から施行された、欧州連合(EU)の金融・資本市場の包括的な規制をいいます。

2007年11月に施行された「金融商品市場指令(MiFID)」を改正したもので、「金融商品市場規則(Mifir:Markets in financial instruments regulation)」と共に、2014年5月に欧州連合理事会で可決され、発効しました。

ここでは、MiFID2の概要について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

MiFID2とMifirの導入について

MiFIDは、EU版の金融商品取引法にあたるもので、2007年の施行以来、EUの金融・資本市場における競争と統合を促進すると共に、投資家保護の面でも目覚ましい改善をもたらしてきました。

その一方で、世界金融危機に起因する金融・資本市場における環境変化を背景に、MiFIDの改正を求める声が高まり、長い協議や改訂作業を経て、EU加盟各国による国内法制化によって効力が発生する「MiFID2」と、EU加盟国全ての市場に対する共通の基準として適用される「Mifir」が導入されることになりました。

MiFID2の主要な改訂について

金融・資本市場が大きな環境変化に直面する中で、安全・堅固・透明で信頼しうるマーケットの構築という目的のために、MiFID2では、以下のような改訂がなされました。

・新たな市場構造の枠組みの導入(規制市場及びMTFに加えて、新たにOTFというカテゴリーを導入)
・市場透明性の向上(ダークプール規制等も新たに導入)
アルゴリズム取引に対する取引規制の導入
・商品デリバティブ市場に対する監督権限の強化
・投資家保護の強化(リテール顧客の手厚い保護他)
・第三国のEU市場へのアクセスを認めるための統一的な枠組みの導入

MiFID2の運用機関の対応について

グローバルな運用機関では、MiFID2により、取引報告や手数料の透明性、金融商品ガバナンスなどに厳格に対応する必要があります。

・取引報告の責任がブローカーから運用機関に移る
・手数料の開示に関して幾つかの強化策が含まれており、その中でも、独立したアドバイザーへの仲介手数料やリベートの支払いを明確に禁止している
・金融商品の組成者とその販売業者に対して、従来よりも厳しい金融商品ガバナンス要件を課している

MiFID2の指令構成について

MiFID2の指令構成は、以下のようになっています。

第1編:範囲と定義

第2編:投資サービス会社の認可と運営要件
--第1章:認可の要件と手続き
--第2章:投資サービス会社の運営要件
----第1部:一般条項
----第2部:投資家保護規程
----第3部:市場の透明性と健全性
----第4部:中小企業成長市場
--第3章:投資サービス会社の権利
--第4章:第三国投資サービス会社の投資サービス・活動に係る規定
----第1部:支店開設を通じたサービス提供ないし活動の実施
----第2部:認可の取り消し

第3編:規制市場

第4編:コモディティデリバティブに係るポジションリミットとポジション管理及び報告

第5編:データ報告サービス
----第1部:データ報告サービスプロバイダーの認可手続き
----第2部:APAの要件
----第3部:CTPの要件
----第4部:ARMの要件

第6編:規制当局
--第1章:指定・権限・是正手続き
--第2章:加盟国当局間及びESMAとの協力
--第3章:第3国との協力

第7編:委任立法

雑則
附則1:投資サービス・活動及び金融商品のリスト
附則2:本指令におけるプロ顧客
附則3:廃止された指令と付随する改正/国内法化の期限
附則4:第94条における相関関係図

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