トービンのq
英語: | Tobin's q |
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分類: | 財務分析 |
トービンのqは、株式市場で評価された企業の価値(株式時価総額と債務総額の合計)を資本の再取得価格(現存する資本を全て買い換えるために必要となる費用総額)で割ったものをいいます。
米国の経済学者でノーベル経済学賞の受賞者である、ジェームズ・トービン(1918-2002)が提唱した投資理論「トービンのq理論」の中の係数で、現在、企業の投資に関する指標になっているほか、企業の資産の時価に注目した指標にもなっています。
一般にトービンのqが1より小さい場合、企業の価値は資本ストックの価値よりも小さいことを意味するため、企業は投資を控えるべきことを示唆し、また状況によっては既存設備の縮小が求められます。
※資本ストック:ある時点で企業が抱えている設備の量で、金額換算されたもの。
一方で、トービンのqが1より大きい場合、企業の価値は資本ストックの価値よりも大きい(資本ストックを使って財を再生産する方が大きな価値を生み出す)ことを意味するため、将来の収益力が期待され、企業は投資を行うべきことを示唆し、また市場からも投資の拡大が期待されます。
なお、トービンのqは、企業の資産の時価に注目した指標でもあり、株価の過小評価や過大評価も分かるため、M&Aの対象となる企業の評価に用いられることもあります。