ハント兄弟
読み方: | はんときょうだい |
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英語: | Hunt brothers |
分類: | 商品先物 |
ハント兄弟は、1979年から1980年にかけて、史上空前の銀(Silver)の投機を行ったことで知られる、米国で石油会社を経営する富豪の一族であったネルソン・バンカー・ハント(兄)とウィリアム・ハーバート・ハント(弟)の兄弟をいいます。
当時、インフレやドル安によって金融資産の価値が目減りする中、ハント兄弟は、インフレに強く通貨としての側面もある貴金属の銀に着目し、石油事業で蓄えた一族の資金力を背景に、米国の先物市場で猛烈な勢いで大量の銀を買い占めた結果、銀価格が9ドルから50ドルに大暴騰し、巨額の利益を稼ぎ出しました。
しかしながら、その後、価格高騰による欧州の大量の銀製品から鋳潰された銀の現物市場への流入やFRBの利上げなどにより銀価格が下落に転じ、さらに取引所が先物取引の規制強化に乗り出したことで状況が一変し、ハント兄弟は買いポジションを維持できなくなって、その影響(一斉売り)により銀価格は暴落しました。
◎ハント兄弟は、米国の銀市場の60%に相当する1億9500万オンスを超える銀を買い占め、最盛期には50億ドルとも言われる巨額の利益があった。
◎1980年3月27日の取引は「銀の木曜日(Silver Thursday)」と呼ばれる史上最大の暴落を記録し、同年9月には、1オンス11ドル以下になり、数カ月で80%超下落した。
◎ハント兄弟は銀投機の大損失に加え、相場操縦の疑いで米商品先物取引委員会から告訴され、ついには資金面に窮してチャプター11に基づく破産を申請した。
ちなみに、ハント兄弟は、銀投機により破産した後、非上場の同族企業のペトロ・ハントを経営し、本来の家業だった石油事業に携わり、晩年には、石油ブームで富豪に返り咲いたそうです。