先物取引
読み方: | さきものとりひき |
---|---|
英語: | Futures contract |
分類: | 先物 |
先物取引は、デリバティブ(金融派生商品)の一つで、将来の売買について、予め現時点で約束する取引をいいます。
株価指数や債券、短期金利、通貨、コモディティなど、ある対象(原資産)を将来の一定の期日に、今の時点で取り決めた価格で取引することを約束(保証)する契約で、もっと簡単に言えば、いつ・何を・いくらで売買するという「未来の取引を約束する契約」となっています。
目次:コンテンツ構成
先物取引の種類
先物取引は、世界各地にある取引所(マーケット)を通して日々取引が行われており、その種類には、以下のようなものがあります。
・株価指数を対象とした「株価指数先物取引」
・短期金利を対象とした「金利先物取引」
・債券を対象とした「債券先物取引」
・通貨を対象とした「通貨先物取引」
・コモディティ(商品)を対象とした「商品先物取引」
・排出権を対象とした「排出権先物取引」
・電力を対象とした「電力先物取引」 他
ちなみに、差金決済を含んだ世界初の公認の先物取引は、1730年に日本において幕府公認として開設された大坂の「堂島米会所」で米の先物取引が行われたのが最初と言われています。
|株価指数先物取引
株価指数先物取引は、株価指数を将来の予め定められた日に、現時点で取り決めた値段で売買を約束する取引をいいます。現在、日本では、大阪取引所において、日経225先物やTOPIX先物、JPX日経インデックス400先物、TOPIX Core30先物、RNプライム指数先物、NYダウ先物などが上場されており、その中でも「日経225先物」が最もよく取引されています。
|債券先物取引
債券先物取引は、将来の特定の期日に、特定の債券を予め取り決めた値段で売買を約束する取引をいいます。現在、日本では、大阪取引所において、中期国債先物、長期国債先物、超長期国債先物などが上場されており、実際に発行されている日本国債ではなく、国債の「標準物」を取引対象とした先物取引となっています。
|金利先物取引
金利先物取引は、短期金利を指標として、将来の予め定められた日に、現時点で取り決めた値段で売買を約束する取引をいいます。現在、日本では、東京金融取引所において、ユーロ円3ヵ月金利先物が上場され、取引されています。
|通貨先物取引
通貨先物取引は、米ドルやユーロなど、取引所に上場されている外国通貨の標準物を、将来の一定の時期に一定の価格で売買することを、現時点で約定する取引をいいます。現在、世界においては、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物が最も有名で、世界最大の市場となっています(日本の取引所には通貨先物は上場されておらず)。
|商品先物取引
商品先物取引は、将来の一定時期に、貴金属や非鉄、農産物、エネルギーなどの商品を受渡し(売ったり買ったり)することを約束して、その価格を現時点で決める取引をいいます。現在、日本では、大阪取引所と東京商品取引所と堂島取引所で取引されていますが、取引規模(商い)が小さいため、CMEやICEなど欧米の海外先物を利用する投資家や事業者も多いです。
先物取引の仕組み
先物取引は、取引所が指定する一定の証拠金を預託するだけで取引(売買)できるようになっており、また証拠金に対して数倍から数十倍の大きな額が取引可能な「レバレッジ」を効かせることができます。
通常、将来の決済については、期日に現物を受渡しすることはほとんどなく、反対売買をして差額授受により決済(差金決済)するのが一般的となっています。なお、取引には、通常、複数の限月が設定されます。
・買い方は、先物相場の上昇により利益が得られる
・売り方は、先物相場の下落により利益が得られる
先物取引の主な機能と役割
先物取引は、マーケットにおいて、広く利用されており、主な機能と役割として以下が挙げられます。
・適正価格を定めるための価格の市場調整機能
・将来の価格変動の影響を避けるためのリスクヘッジ機能
・価格変動を利用して利益を得るスペキュレーション取引が可能
・現物と先物の価格差に着目したアービトラージ取引が可能
先物取引と先渡取引の違い
デリバティブにおいて、先物取引(Future Contract)と似たような取引に「先渡取引(Forward Contract)」があります。
先物取引も先渡取引も、将来の予め定められた時点で、特定の商品を現時点で定めた値段で売買を約束する取引という共通点がありますが、一方で先物取引が取引所を介する取引所取引であるのに対して、先渡取引が個別性が高い相対取引(店頭取引)である点が異なっています。
|先物取引について
先物取引は、取引所で行われる、特定の対象(原資産)を、将来の定められた期日に、定められた値段で"買う"もしくは"売る"という予約をする取引をいいます。
・取引条件は、定型化されている
・取引所取引で、委託証拠金が必要である
・差金決済により、取引の決済が行われる
・市場の流動性が高く、様々な原資産が対象となる
・リスクヘッジから投機まで多様な取引が行われている
|先渡取引について
先渡取引は、相対で行われる、ある現物資産を、将来の定められた期日に、定められた値段で受け渡しを予約する取引をいいます。
・取引条件は、自由である
・店頭取引(相対取引)で、委託証拠金が不要である
・現物決済により、取引の決済が行われる
・市場の流動性が低く、金利や為替など対象は多くない
・取引の採算を確保したい場合に利用される