デリバティブ
英語: | Derivatives |
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分類: | 基本事項 |
デリバティブは、「金融派生商品」とも呼ばれ、金利や債券、株式、通貨、商品などの原資産から派生した金融商品の総称をいいます。
元々は、リスク回避の手段として開発されましたが、その特色として、少額の資金で大きな取引ができることから、昨今では、デリバティブ自体を対象とする投機的な取引も拡大しています。
ここでは、デリバティブの概要について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
デリバティブの種類
デリバティブの種類には、元となる原資産、取引の形態、商品の仕組みによって、いくつかに分類することができますが、その中で代表的なものとして、「先物取引」、「スワップ取引」、「オプション取引」の3つがあります。
|先物取引について
先物取引(Futures contract)とは、将来の売買について、予め現時点で約束する取引をいいます。これは、ある対象商品を将来の一定の期日に、今の時点で取り決めた価格で取引することを約束(保証)する契約を指し、現在、マーケットにおいて、リスクヘッジやスペキュレーション、アービトラージなどで広く利用されています。
・金利先物取引:短期金利を対象
・債券先物取引:債券(国債)を対象
・株価指数先物取引:株価指数を対象
・通貨先物取引:通貨を対象
・商品先物取引:商品(コモディティ)を対象
・排出権先物取引:排出権を対象
・電力先物取引:電力を対象
|スワップ取引について
スワップ取引(Swap)とは、等価のキャッシュフローを交換する取引の総称をいいます。これは、二者間で合意された「ある想定元本に対して異なる指標を適用して計算されたキャッシュフローを一定期間交換すること」を約束した取引を指し、現在、マーケットにおいて、相場変動を回避したり、効率的かつ効果的な資金調達や資金運用を実現したりするために広く利用されています。
・金利スワップ:同一通貨間で異なる種類の金利を交換
・通貨スワップ:異なる通貨の金利と元本を交換
・クーポンスワップ:異なる通貨間で金利のみを交換
・エクイティスワップ:金利と株式(株価指数)のリターンを交換
・コモディティスワップ:商品価格と金利等を交換
|オプション取引について
オプション取引(Option)とは、ある商品について、将来の一定の期日(期間内)に一定の数量を、その時の市場価格に関係なく、予め決められた特定の価格(権利行使価格)で"買う権利"または"売る権利"を売買する取引をいいます。これは、リスク限定やレバレッジ効果、多種多様な取引戦略といった特色を持ち、また原資産を"買う権利"のオプションを「コールオプション」、"売る権利"のオプションを「プットオプション」と言います。
●オプション取引の種類
・株価指数先物オプション:株価指数先物を対象
・個別株オプション:個別株を対象
・金利先物オプション:短期金利先物を対象
・債券先物オプション:国債先物を対象
・スワップション:スワップ取引を対象
・通貨オプション:通貨を対象
・商品先物オプション:商品(コモディティ)を対象
●オプション取引の形態
・バニラオプション:基本的なオプション
・エキゾチックオプション:特殊な条件を加えたオプション
デリバティブの特色
デリバティブは、元々は、金利や債券、株式、通貨といった伝統的な金融商品から派生したものであり、昨今では、複雑な仕組みのものも多いですが、一般的には以下のような特色があります。ちなみに、本用語の元となる英単語の"derivative"には、「派生的、副次的」といった意味があります。
◎価格付けの参照先となる原資産が存在する。
◎ロングポジション(買い持ち)だけでなく、ショートポジション(売り持ち)の構築も可能である。
◎通貨スワップなど一部を除けば、元本相当分の手元資金が不要である(元本相当分の資金のやり取りが発生しない)。
◎少ない資金で効果的にリスクヘッジやアービトラージ取引(裁定取引)、スペキュレーション取引(投機取引)を行うことができる。
◎レバレッジ効果により、失敗した時のリスクが非常に大きいため、高度なリスク管理や厳格な内部統制などが重要となり、また会計上の処理は時価会計で行われる。
◎売買のネットの供給はゼロであり、それから生じるリターンも売り手と買い手を合わせるとネットでゼロになる。
デリバティブの歴史
世界の金融取引において、デリバティブの歴史は意外と古く、17世紀のオランダのチューリップ市場などが「オプション取引」の原型であり、また18世紀の日本(大阪堂島)の米市場などが「先物取引」の原型であると言われています。
スワップ取引を中心とする現代デリバティブについては、1981年の世界銀行とIBMとで行われた通貨スワップから大きく発展しました。そして、今日では、企業のクレジットリスクを対象とする「クレジットデリバティブ」や天候(気象に関する指標)を対象とする「天候デリバティブ」、不動産を対象とする「不動産デリバティブ」、CO2排出量を対象とする「排出権デリバティブ」など多様な取引が世界中で行われています。
◎現代デリバティブの発展には、その価値を定量的に算出するための金融工学の発達が大きく寄与している。
◎オプションの価格算出のための理論式である「ブラック・ショールズ・モデル」や、より複雑なデリバティブの評価に用いられる「モンテカルロ・シミュレーション」などの手法の発見と確立によって、デリバティブ市場が大きく拡大した。
デリバティブ取引の分類
デリバティブ取引とは、先物やスワップ、オプションなどのデリバティブ(金融派生商品)を取引することをいいます。これには、大きく分けて、「取引所取引」と「店頭取引」の二つがあり、以下のように分類できます。
なお、個人投資家においては、株価指数先物取引や株価指数オプション取引、商品先物取引、デリバティブを組み込んだ商品(仕組預金、仕組債)などが身近なものとなっています。
|取引所取引
取引所取引は、デリバティブ取引所において、標準化したものを売買する取引をいいます。
●先物取引
株価指数先物、債券先物、金利先物、通貨先物、商品先物、天候先物 他
●オプション取引
株価指数オプション、債券先物オプション、金利先物オプション、通貨オプション、商品先物オプション 他
|店頭取引
店頭取引は、金融機関との相対で、オーダメイドのものを売買する取引をいいます。
●スワップ取引
金利スワップ、通貨スワップ、クーポンスワップ、エクイティスワップ、コモディティスワップ 他
●先渡取引
FRA(金利先渡取引)、FXA(為替先渡取引)他
※先渡取引:将来のある時点に、予め定めた価格で、ある特定の商品を売買する予約取引。
●オプション取引
バイナリー・オプション、スワップション、金利キャップ、金利フロア、カラー、レンジキャップ 他
●クレジットデリバティブ
CDS、TROR、TRS、FtD、CLN 他
※クレジットデリバティブ:国や企業などの信用リスクを取引するデリバティブの総称。
国内外のデリバティブ取引所
現在、国内外の主要なデリバティブ取引所には以下があり、世界全体では、取引高は年々拡大しています。
|国内の取引所
・大阪取引所
・東京金融取引所
・東京商品取引所
・堂島取引所
|海外の取引所
・CMEグループ(米国)
・インターコンチネンタル取引所(米国)
・シカゴ・オプション取引所(米国)
・ユーレックス(ドイツ)
・モスクワ取引所(ロシア)
・上海期貨交易所(中国)
・大連商品交易所(中国)
・鄭州商品交易所(中国)
・香港取引所(香港)
・韓国取引所(韓国)
・インド国立証券取引所(インド)
・インドマルチ商品取引所(インド)
・BM&F ボベスパ(ブラジル)他