UCITS
読み方: | ゆーしっつ |
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分類: | 制度 |
UCITSは、「Undertakings for Collective Investment in Transferable Securities(譲渡可能証券の集団投資事業)」の略で、欧州委員会が制定した指令(UCITS指令)に準拠するファンドをいいます。
UCITS指令とは、EU域内におけるファンド販売・運用事業の相互乗り入れの推進にあたって、ファンド制度の統一基準を定めたもので、あるファンドが、UCITS指令に加盟する所属国で認可を受ければ、他の加盟国で改めて認可を受けなくても、そのファンドの販売を可能とする制度となっています。
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UCITSの概要
UCITSは、簡単に言えば、EUの法律に従って設定・運用されるファンド(欧州版の投資信託)であり、またUCITS指令により、運用手法や投資対象、リスク分散、リスク管理、流動性、情報開示などにおいて、投資家保護の観点から厳しい基準が設けられています。
◎ファンドの設立規制は、各国当局による認可で、またファンドの運営形態は、契約型(コモンファンド、ユニットトラスト)と会社型となっている。
◎ファンドの投資可能な資産は、譲渡可能証券、預金・短期金融資産、オープンエンド型ファンド、デリバティブとなっている。
昨今では、欧州だけでなく、米州やアジア、中東、アフリカにまで販売地域が拡大されており、日本でも一部のファンドが個人向けに販売されています(欧州籍のファンド説明書で、本用語を見かけることがある)。
UCITS指令の変遷
UCITS指令は、ファンドのクロスボーダー化の推進と個人投資家の保護が大きなポイントになっています。1985年にUCITS Iが制定された後、数回の改定を経て、現在、UCITS Vが施行され、またUCITS VIが検討されています。
●UCITS I(1985年制定)
・ファンドに関する域内共通の規則が制定された
・域内でのファンド販売が可能になった
・投資対象は伝統的資産(ロングオンリー型の債券・株式ファンド)に限定された
●UCITS II(1994年)
・改正案が提出されたが、加盟国の合意に至らず、実現しなかった
●UCITS III(2002年制定)
・デリバティブを含めるなど投資可能な金融商品の種類と範囲が拡大された
・ファンドのリスク管理の枠組みが強化された
・投資家に分かりやすい情報開示を目的として書類の拡充が図られた
●UCITS IV(2009年制定)
・管理業務に関する制度が改善された
・ファンドの合併に関する制度が改善された
・マスター・フィーダー・ストラクチャーに関する規制が導入された
●UCITS V(2014年制定)
・預託機関に関する規定が整備された
・管理会社に適用される報酬方針及び制裁措置に関する規定が見直された