国際収支の天井

読み方: こくさいしゅうしのてんじょう
分類: 問題

国際収支の天井は、固定相場制を維持するために、国際収支の赤字を放置できなくなることをいいます。その昔、日本においては、第二次世界大戦後の貿易再開から高度成長期にかけて起こったもので、以下のようなメカニズムでした。

(1)景気拡張期に設備投資や消費などで国内需要が旺盛となり、その好景気が続くと日本の輸入が増加し、経常収支が赤字化する。

(2)当時、1ドル=360円の固定相場制で、経常収支の赤字が続くと外貨準備が減少し、さらに赤字が続くと外貨準備が枯渇し、日本円から他通貨への交換に応じられなくなる可能性が高まる。

(3)外貨準備の減少を阻止するために金融引締め等の景気調整策がとられ、それが原因となって設備投資や在庫投資が停滞し、景気が後退局面へと転じる。

先進国になる前の日本は、第二次世界大戦後の貿易再開以降、復興する過程で「国際収支の天井」に長く苦しめられましたが、1960年代後半以降は、日本製品の国際競争力が高まったことで輸出が高い伸びを示すようになりました。

それに伴って、好景気(いざなぎ景気)が続く中でも、国際収支が黒字基調で推移するようになり、「国際収支の天井」が制約となって景気が後退するという局面は見られなくなりました。

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