代理受領

読み方: だいりじゅりょう
分類: 実務

代理受領は、債務者が第三債務者に対して有する債権を、債務者から取立委任を受けた債権者が第三債務者から直接回収(受領)し、その金銭を債権の弁済に充てることをいいます。

非典型担保の一つで、債権者(甲)と債務者(乙)と第三債務者(丙)の三者間において、乙の有する債権について、乙に代わって甲が、丙から支払いを受けることであり、具体的には、債権譲渡が禁じられている場合や融資の便宜を図る場合などに利用されます。

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代理受領の注意点

代理受領は、取立てと支払いの受領の委任を受ければ、その権限を得られますが、一方で債権の回収方法としては、債権譲渡に劣るので注意が必要です。

例えば、第三債務者が反対債権を有している場合、相殺することもでき、また別の債権者が対象となる債権を差し押さえた場合、差押えの効力が優先されます。そのため、可能であれば、代理受領について、第三債務者の承諾を得ておくことで、ある程度、これらの事態を防ぐことができます。

行政における代理受領

官公庁や地方公共団体などから受領する債権には、債権譲渡を禁止していることが多く、この場合、代理受領の手法が使われることがあります。

・補助金の申請者が交付を受ける予定の補助金を、市から直接事業者へ交付する
・介護保険の保険者が、サービスの利用者に代わって、その費用をサービス提供事業者に支払う
・ある会社が、官庁から支払われる工事請負代金を担保として金融機関から融資を受け、この金融機関が、その会社に代わって官庁から受領して弁済に充当する

住宅ローンにおける代理受領

代理受領は、家の購入や新築などで住宅ローンを利用する場合に、手続き面(支払・登記)の不利益を避けるために、融資先の金融機関で行われることがあります。

具体的には、売主(不動産会社等)や工事を行った建設会社などが代金の一部として、金融機関から買主に代わって融資金を受け取る約束をすることにより、購入代金の残金(融資される金額)の支払いがなくても、金融機関の融資決定の判断が出ていれば、「つなぎ融資」を使わなくても物件を引き渡してくれるという仕組みになっています。

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