コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)

英語: Corporate Venture Capital(CVC)
分類: 協業

コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)は、事業会社がシナジー効果を目的としてベンチャー企業に投資することをいいます。

元々はベンチャー投資が盛んな米国で生まれたスキームで、日本では2000年代以降、何度か注目され、資金力のある大手企業やIT企業などが「CVCファンド」を設立して積極的に投資を行っていますが、一方で成果面では成功事例が続出という状況にはまだなっていません。

ここでは、事業会社の投資形態の一つである「コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

CVCの主な特色

コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)は、投資を本業としない事業会社が、自社の事業分野とシナジー効果を生む可能性のあるベンチャー企業に対して投資(出資)を行うことをいいます。

有望なベンチャー企業へ出資を行うという点では、ベンチャーキャピタル(VC)と似ていますが、VCが投資先の株式売却によるキャピタルゲインが主な目的なのに対して、CVCは投資先との協業によるコア事業の強化や新規事業の育成といったシナジー効果による自社の売上(収益)拡大が主な目的となっています。

一般にCVCの投資戦略は、ターゲット企業の業種、具体的なシナジー効果、1件あたりの投資金額、ポートフォリオの構成、EXITの方針など、事業会社によって大きく異なります。

CVCファンドの運営と仕組み

コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)において、投資を行うために事業会社の自己資金で組成されるファンドを「CVCファンド」と言います。また、CVCファンドの運用にあたっては、社内の投資部門やグループの投資子会社、もしくは外部のベンチャーキャピタル(VC)に任せることが多いです。

CVCファンドの仕組み

CVCファンドの期限

通常、投資事業組合であるため、期限を設ける(10年が最も多く、5年や7年などもあり)。また、当初の期限に対し、1年毎の延長で、2年くらいの延長可能期間を設けることもある。

CVCファンドのEXIT

投資先と信頼関係を構築し、最終的にはファンドの出資元企業がファンドから全株を取得して内部化(インターナリゼーション)し、事業部や子会社とすることがメインのイグジット(出口)となる。その他に、IPO(株式公開)やM&A(他社への売却)も選択肢となる。

CVCのメリットとデメリット

コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)は、昨今、そのメリット(有効性)から世界で大きなトレンドになっていますが、一方で当たり外れのある投資事業のため、乗り越えなければならないデメリット(問題点)もあります。

CVCのメリット(有効性)

・斬新な事業アイデアと接点を持てる
・将来性のある製品・サービスの開発コストを低減できる
・新規事業の立上げや新市場への参入リスクを低減できる
・外部人材との協業でオープンイノベーションが図れる

CVCのデメリット(問題点)

・有望な投資先の発掘や選定が非常に難しい
・有望な投資先への出資は競争となり割高となることがある
・ファンド運用や事業育成のノウハウ不足により失敗することがある
・成果を出すにはある程度の時間を要するが、経営陣と投資部門のスパンが一致しないことがある
・大企業とベンチャー企業では企業風土や人材が大きく異なり、協業がうまくいかないことがある

CVCの国内外の事例

CVCは、海外でも広く定着し、特にベンチャー投資が盛んな米国のCVCは成功事例が多いです。

海外のCVCの例

・GV(Google)
・M12(Microsoft)
・Intel Capital
・Qualcomm Ventures
・Cisco Investments
・Samsung Venture Investment
・Salesforce Ventures
・Novartis Venture Fund
・Time Warner Investments
・GE Ventures 他

日本のCVCの例

・GMO VenturePartners
・Gree Ventures
・Z Venture Capital
・楽天キャピタル
・Sony Innovation Fund
・KDDI Open Innovation Fund
・NTTドコモ・ベンチャーズ
・パナソニックベンチャーズ
・オムロンベンチャーズ
・セゾン・ベンチャーズ
・日本郵政キャピタル
・電通ベンチャーズ
・JR西日本イノベーションズ
・そーせいCVC 他

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