灰色のサイ(グレーリノ)

読み方: はいいろのさい
英語: Gray Rhino
分類: 概念

灰色のサイは、「グレーリノ(Gray Rhino)」とも呼ばれ、マーケットにおいて、高い確率で存在し、大きな問題を引き起こすにもかかわらず、軽視されがちな材料(問題)をいいます。

草原に生息する「サイ(Rhino:リノ)」は体が大きくて反応も遅く、普段はおとなしいですが、一方で一旦暴走し始めると爆発的な破壊力によって、誰も手を付けられなくなるという状況に本用語は由来します。

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灰色のサイ(グレーリノ)の概念

灰色のサイ(グレーリノ)は、米国の作家・政策アナリストのミシェル・ウッカー氏(Michele Wucker)が2013年1月に世界経済フォーラム(ダボス会議)で提起したもので、その著書「The Gray Rhino: How to Recognize and Act on the Obvious Dangers We Ignore」によると、発生する確率が高い上に、影響も大きな潜在的リスクをいいます。

一般にブラックスワンが「実際に起きてしまうと深刻な危機を招く、予測不能でありえないような事象」を指すのに対して、グレーリノは「いずれ危機を招くと予測されているにもかかわらず、今の時点では軽視されて放置されたままの事象」を指します。

灰色のサイ

灰色のサイ(グレーリノ)の出現

灰色のサイ(グレーリノ)は、マーケットにおいて、今は問題視されていないものの、いつか大暴落を引き起こしかねない材料であり、例えば、不動産バブルや債務膨張、不良債権、地域紛争、インフレ、少子高齢化、格差拡大、政策変更など、常に世界の至る所に存在します。

従来、成長と緩和が併存する「ゴルディロックス相場(適温相場)」の前は、グレーリノが現れると市場に緊張感が走り、投資家も身構えましたが、昨今では、適温相場が長く続くうちに慣れてしまい、危険の予兆を目にしているにもかかわらず、注意を払わなくなってきました。

その一方で、グレーリノが暴れない性質になったわけではなく、むしろ息を潜めて群れをなしているのが現状であり、投資家はいつ暴走が始まっても対処できるように、警戒レベル(リスク対応力)を高めておく必要があります。

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