JPモルガン巨額評価損
読み方: | じぇいぴーもるがんきょがくひょうかぞん |
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英語: | JPMorgan's trading loss |
分類: | 金融事件 |
JPモルガン巨額評価損は、2012年5月に発覚した、JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)が手掛けたデリバティブ取引で発生した巨額の評価損のことをいいます。
同社のチーフ・インベストメント・オフィス(CIO)部門でのクレジット・デリバティブの失敗(企業の破綻リスクを取引するCDS市場での取引失敗)が主因で、その損失の大半は「マークイットCDX北米投資適格指数シリーズ9」とのことでした(欧州債務危機で市場が不安定になった2012年4月以降に評価損が膨らんだ)。
また、本取引は、ロンドン支店に在籍し、業界で「ロンドンの鯨」と呼ばれたトレーダーのブルーノ・イクシル氏が中心的な役割を果たしたとされ、その損失額は最終的に58億ドルにも上ったそうです(5月10日時点では20億ドルの損失、7月13日の第2・四半期決算では44億ドルの損失、第1・四半期も含めると損失額は58億ドル)。
2012年7月、JPモルガンでは、巨額評価損のさらなる拡大を防ぐために、CIO部門でのクレジット・デリバティブを大幅に縮小し、残った部分を投資銀行に移したことを明らかにしました。また、CIO部門については、本来、リスク管理や余剰資金の運用などを担当する部署であり、今後はクレジット・デリバティブを行わず、保守的な投資に重点を置くとしました。
なお、同社ほど経営基盤が強固ではない大手金融機関で同様の損失が発生した場合、経営に深刻な支障(破綻等)を及ぼしかねなかったとされ、同社の巨額評価損は、世界的な金融規制強化の議論が再燃する一つの契機になりました。