バーゼルIII
読み方: | ばーぜるすりー |
---|---|
英語: | Basel III |
分類: | 金融規制 |
バーゼルIIIは、主要国の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が2010年9月に公表した、国際的に業務を展開している銀行(国際統一基準行)の健全性を維持するための新たな自己資本規制をいいます。
国際統一基準行の自己資本の質と量の見直しが柱で、普通株と内部留保からなる「狭義の中核的自己資本」を、投資や融資などの損失を被る恐れがある「リスク資産」に対して、一定割合以上持つように義務づけるものとなっています。
目次:コンテンツ構成
バーゼルIIIの位置づけについて
バーゼルIIIは、1988年に公表された、銀行の自己資本比率に関する規制である「バーゼル合意(BIS規制)」、2004年に公表された、BIS規制の内容を見直し、より金融機関のリスクを反映させた「バーゼルII(新BIS規制)」に次ぐ、新たな枠組み(規制強化策)で、2012年末から段階的に導入し、2019年から全面的に適用されています。
バーゼルIIIの概念について
バーゼルIIIでは、2008年-2009年の世界的な金融危機を教訓に、仮に銀行が経営危機に見舞われても、返済不要の普通株などによる資金を十分に持っていれば、損失を穴埋めできて危機を回避できるという考え方に基づいています。
バーゼルIIIの要求水準について
バーゼルIIIでは、業績悪化時に配当を機動的に減らせる普通株式と過去の利益の蓄積である内部留保が主体の「狭義の中核的自己資本」の比率を実質7.0%以上とすることが求められています。
具体的には、普通株式等Tier1の最低所要水準が2.0%から4.5%に引き上げられ、また銀行は将来のストレス期に耐え得るように2.5%の資本保全バッファーを保有することが求められるため、合わせて狭義の中核的自己資本の所要水準は7.0%となります(自己資本比率では8%以上)。
バーゼルIIIの新指標について
バーゼルIIIでは、自己資本比率の強化に加えて、新たな指標として「流動性カバレッジ比率」や「レバレッジ比率」を設けることによって、流動性リスクの把握やレバレッジの肥大化抑制をモニタリングする仕組みも導入されています。
◎流動性カバレッジ比率=適格流動資産/30日間のストレス期間に必要となる流動性
◎レバレッジ比率=Tier1資本/エクスポージャー額(オンバランス項目+オフバランス項目)