債権
読み方: | さいけん |
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分類: | 債権・債務 |
債権は、ある者(債権者)が他の者(債務者)に対して、一定の行為(給付)を請求することを内容とする権利をいいます。これは、財産的利益を内容とする権利であることから、財産権の一つであると共に、請求権でもあります。
ここでは、身近な概念の一つである「債権」について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
債権の効力について
債権には、給付保持力、訴求力、執行力の3つがあるとされます。
|給付保持力|
債権者の履行による給付を保持しても不当利得とはならない効力。
|訴求力|
訴訟手続で債権を実体法上の権利として確認できる効力。
|執行力|
確定判決を債務名義に執行しうる効力。
債権の発生原因について
現在、日本の民法では、債権の発生原因として、契約、事務管理、不当利得、不法行為の4つを規定しています。
この中で、当事者間の合意により発生するものを「約定債権」と言い、契約による債権が該当します。一方で、法律の規定により発生するものを「法定債権」と言い、事務管理、不当利得、不法行為による債権が該当します。
また、債権は、民法で目的に応じていくつかの下位概念があり、具体的には、特定物債権、種類債権、金銭債権、利息債権、選択債権が規定されています。
債権と債務について
当事者間の給付を債権者から見た場合が「債権」、債務者から見た場合が「債務」となり、例えば、金銭の支払いの請求や、物の引渡しの請求などが身近な債権として挙げられます。また、給付については、財貨でも、労務を供するものでも、一定の行為をしないという不作為でもよいとされます。
指名債権と証券的債権について
債権は、債権譲渡においては、指名債権と証券的債権に分類されます。
|指名債権|
債権者が特定している普通の債権をいい、例えば、金融機関の預金、売主が買主に対して有する金銭債権、家主が借家人に対して有する賃料債権などが挙げられる。
|証券的債権|
証券の中に化体されている債権をいい、指図債権、無記名債権、記名式所持人払債権の三つに分類される。
債権保全と債権放棄について
債権は、いかなる状況でも保全することが原則ですが、時として放棄することもあります。
|債権保全|
金融機関や企業などにおいて、貸出金や売掛金などの債権の回収を確実にするための各種方策のこと。
|債権放棄|
債権者の有する債権の一部または全部について、債務者から弁済を受ける権利を放棄すること。
債権と債券の違いについて
債権と債券は、普段よく見かける同音異義語で、また書き間違えもよくありますが、以下のような違いがあります。
|債権|
金銭を貸した者が借りた者に対して、その返還を請求する権利など、ある者が他の者に対して、一定の行為(給付)を請求することを内容とする権利。
|債券|
国や地方公共団体、国際機関、金融機関、企業などが資金調達のために発行する有価証券。