退避通貨

読み方: たいひつうか
分類: 通貨区分

退避通貨は、「安全通貨」とも呼ばれ、世界のどこかで危機が起こった時に買われる通貨をいいます。通常、地政学的に関連性のない通貨、経済的に関連性のない通貨、流動性や安定性のある通貨、中立国の通貨、基軸の通貨などが対象となります。

例えば、戦争や地域紛争、大規模テロ、金融危機などが起こって世界情勢が不安定になると、マネーは安全性を求めて、すばやく退避通貨に移動します。そして、危機がしばらくして一段落すると、資金の流れが変わって、すぐに元に戻ることが多いです。

20世紀の冷戦時代においては、有事のドル買い(ドル=退避通貨)は成り立っていましたが、1991年の湾岸戦争の時から陰りが見られ、2001年の米国同時多発テロを契機に大きく変わりました。昨今では、有事のドル買いは必ずしも成り立たず、その有事が米国に対して有利に働くか不利に働くかによって変わってきます。

現在、退避通貨と言った場合、スイスフランは一つの定番ですが、それ以外では、受け皿の大きいユーロが米ドルに代わることが多くなりました。ただし、これについては、ケース・バイ・ケースで、起こった危機に対して、相対的にどこが安全かで選択されます。

<退避通貨の具体例>

スイスフラン:永世中立国、主要通貨の一つ
米ドル:有事の際に米ドルを信頼、ユーロがダメな場合
ユーロ:ドルに代わる大きな受け皿、米ドルがダメな場合
日本円:米国やヨーロッパに危機が発生したような場合
スウェーデンクローナ:政治的な中立性、受け皿として小さい

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