ファイナンスリース
英語: | Finance Lease |
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分類: | リース |
ファイナンスリース(Finance Lease)は、ユーザー(借手)が選んだものをリース会社(貸手)が購入し、賃貸する取引をいいます。これは、リース取引の一形態で、物件代金や諸費用の概ね全額をリース料として支払うフルペイアウトで、ノンキャンセラブル(中途解約不可)の賃貸借契約を指します。
目次:コンテンツ構成
ファイナンスリースの概要
リース取引とは、特定の物件の所有者たるリース会社が、当該物件のユーザーに対して、予め合意された期間において、それを使用収益する権利を与え、一方でユーザーは、合意された使用料をリース会社に支払う取引を指し、「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」の二つに分類されます。
この二つの中で、ファイナンスリースは、ノンキャンセラブル(中途解約不可)で、フルペイアウトのリース取引をいいます。
ファイナンスリースの仕組み
ファイナンスリースは、通常の賃貸借やレンタルなどのように、既に貸手が保有しているものから借手が選んで借りるのではなく、借手が選んだものを貸手が借手に代わって購入して貸与し、その期間中にリース料として、物件の取得費用や資金コスト、固定資産税、保険料などの総額を回収する仕組みとなっています。
●ノンキャンセラブル
中途解約不可、リース期間の中途で契約を解除できない。
●フルペイアウト
借手(ユーザー)は、リース期間中に、貸手(リース会社)がリース契約に要した資金のほぼ全額をリース料として支払う。
ファイナンスリースの会計基準
リース会計基準では、リース料とリース期間の基準が具体的に定められており、解約不能(ノンキャンセラブル)で、以下のいずれかに該当するものを「ファイナンスリース」としています。
・リース料総額の現在価値がリース物件購入金額の90%以上
・解約不能リース期間がリース物件の経済的耐用年数の75%以上
ファイナンスリースの分類
ファイナンスリースは、所有権移転の判定によって、「所有権移転ファイナンスリース」と「所有権移転外ファイナンスリース」の二つに分類されます。
所有権移転ファイナンスリース
所有権移転ファイナンスリースは、リース契約上の諸条件に照らして、リース物件の所有権がユーザー(借手)に移転すると認められるものをいいます。これに関しては、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行います。
所有権移転外ファイナンスリース
所有権移転外ファイナンスリースは、リース契約上の諸条件に照らして、リース物件の所有権がユーザー(借手)に移転しないと認められるものをいいます。これに関しては、契約後(リース期間終了後)も使用する場合は、再リース料や買い取り費用を別途支払うことが必要になります。
ファイナンスリースの対象物件と期間
現在、ファイナンスリースの対象物件としては、コンピュータや通信機器、事務用機器、工作機械、産業機械、半導体製造装置、医療機器、建設機器、輸送用機器、商業用設備など、あらゆる分野にわたっています。
また、リース期間については、導入する設備機器の法定耐用年数を基準として決定されるため、フレキシブルに費用計画を立てることができます。
ファイナンスリースの主な特徴
ファイナンスリースの主な特徴として、以下が挙げられます。
・ユーザーの希望する物件をリース会社が購入し、リース会社は該当物件を長期間ユーザーに貸与する
・ユーザーがリース期間中に支払うリース料で、物件の購入代金や金利、固定資産税、保険料などのコストを実質的にユーザーが負担する(フルペイアウト)
・原則として、リース期間中において、ユーザーは契約を解約することができない(ノンキャンセラブル)
・物件の保守や修繕義務は、ユーザーが負担する
・リース会社は、物件の瑕疵担保責任を負わない
・ユーザーは、財務面で資金の効率的運用や資金調達手段の多様化が図れる
・ユーザーは、機械や設備の陳腐化リスクを軽減できる
・ユーザーは、物件の管理や事務をアウトソーシングできる
・メーカーやディーラーなどでは、販売活動に利用できる
ファイナンスリースの取引手順(例)
ファイナンスリースの取引手順の一例として、以下が挙げられます。
1.設備等(リース物件)の選定
2.リースの申込み、ユーザーの信用等審査
3.リース契約の締結
4.リース物件の売買契約の締結
5.リース物件の搬入
6.リース物件の検査後、物件借受証を発行(リース開始)
7.リース物件の代金の支払い
8.リース物件の保守契約の締結