マーケットニュートラル

英語: Market neutral
分類: 投資戦略

マーケットニュートラル(Market neutral)は、買い建て(ロングポジション)と売り建て(ショートポジション)を組み合わせることによって、マーケット全体の価格変動に左右されない安定的な収益の確保を目指す投資戦略(運用手法)をいいます。これは、ヘッジファンドの代表的な運用手法の一つで、市場中立型のロング・ショート戦略となっています。

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マーケットニュートラルの手法と具体例

マーケットニュートラルは、通常、割安と判断される銘柄の「ロングポジション(買い建て)」を取る一方で、それと同額の割高と判断される銘柄の「ショートポジション(売り建て)」を取ることが多く、本手法では、銘柄選択の効果が出やすいと言われます。

例えば、株式投資において、割安と判断される銘柄を買い建てると同時に、割高と判断される銘柄を空売りし、ポジションがマーケット(株式市場)全体の変動からニュートラル(中立)になるような状態にします。そして、その後は、銘柄の割高と割安の状態が解消される過程で収益(リターン)を狙うことになります。

なお、個人投資家向けに、本手法を取り入れた投資信託の「マーケット・ニュートラル・ファンド」も販売されており、市場全体の動向に影響を受けない絶対収益を目指すファンドとして一つの選択肢になります。

クオンツ運用のマーケットニュートラル

マーケットニュートラルは、クオンツ運用においては、さらに綿密に分析された戦略もあり、主なものに「統計的ペアトレード」や「マルチファクターモデル」などがあります。

統計的ペアトレード

統計的ペアトレードでは、長期にわたって、似たような動きをする二つの金融商品を選択します。通常、マーケットは完全ではなく、選んだ金融商品の動きが一時的に乖離した時に、一方をロングにし、他方をショートにし、統計上、いずれは乖離が収束し、利益が生み出されます。

マルチファクターモデル

マルチファクターモデルは、一時的な歪みを利益に変える戦略と言えます。これは、マーケットの癖を抽出して金融商品をモデル化するもので、例えば、バリュー、グロース、サイズ、収益性、リスク、モメンタム、産業セクター、経済変数感応度などのファクター別に振り分け、ロング&ショートのポジションを取るといった手法や、株式の個別銘柄群と株価指数先物を利用するといった手法などがあります。

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