可処分所得

読み方: かしょぶんしょとく
英語: Disposable Income
分類: 収入

可処分所得は、家計収入(個人所得)のうち、税金や社会保険料などを除き、個人(世帯)が自由に使えるお金をいいます。

家計の「購買力の強さ(程度)」を測ることができるもので、また中長期のマネープランを考える上で重要な概念となっており、日常的には、以下の式から簡単に算出できます。また、可処分所得から消費支出を差し引いた残りが「貯蓄」となります。

・可処分所得=年収-税金-社会保険料
・貯蓄=可処分所得-消費支出

ここでは、家計の基本概念の一つである「可処分所得」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

可処分所得の定義(総務省の家計調査)

可処分所得は、総務省の家計調査では、世帯の「実収入」から「非消費支出」を差し引いた後の金額(手取り収入)を指します。

・可処分所得=実収入-非消費支出

実収入
税込み収入で、世帯員全員の現金収入を合計したもの。

非消費支出
支払義務のある税金や社会保険料など、原則として世帯の自由にならない支出。

消費支出
生活費のことで、日常生活を営むにあたり、必要な商品やサービスを購入して実際に支払った金額。具体的には、食料・雑貨・衣類等の生活必需品の購入、公共料金の支払い、住居費・教育費・レジャー費等の支払いなど。

また、「消費支出」と「非消費支出」を合計したものを「実支出」と言います。

・実支出=消費支出+非消費支出

家計収入から支出する税金と社会保険料

毎年、家計収入から支出する税金と社会保険料には以下があり、その負担は決して小さくありません。

・可処分所得=年収-税金(各種)-社会保険料
・可処分所得=年収-所得税-住民税-社会保険料・・・簡易計算

家計収入から支出する税金

個人が得た所得(収入)に対して支払う税金には、「所得税」と「住民税」があります。また、住宅や自動車などの資産を保有していれば、固定資産税や自動車税などの負担も発生します。

所得税
個人の所得に対して、国が課税する税金(国税)。

住民税
個人の所得に対して、都道府県や市区町村が課税する税金(地方税)。

家計収入から支出する社会保険料

個人が公的年金や公的医療保険、公的介護保険などの社会保険制度に対して支払う社会保険料は、会社員や公務員、自営業者など職業の形態によって支払う保険料が異なります。

●会社員の方が支払う社会保険料

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料

●公務員の方が支払う社会保険料

共済組合(短期給付、長期給付、福祉事業)の掛金(組合員保険料)

●自営業者の方が支払う社会保険料

国民健康保険料、介護保険料、国民年金保険料

※介護保険料:40歳以上の人が支払対象。

給与所得者の可処分所得の算出

会社員や公務員など給与所得者の方の場合、「可処分所得」を計算する際に必要となる、年収、税金(所得税、住民税)、社会保険料の数値は、以下から分かります。

・可処分所得=年収-所得税-住民税-社会保険料

◎年収や所得税、社会保険料は、年末の「源泉徴収票」において、支払金額・源泉徴収税額・社会保険料等の欄に記載されている。

◎住民税は、源泉徴収票からは分からないが、給与から住民税が差し引かれているなら、毎月の「給与明細書」または6月に配布される「市区町村民税・都道府県民税特別徴収額通知書」で確認できる。

自営業者等の可処分所得の算出

自営業者など確定申告者の方の場合、「可処分所得」を計算する際に必要となる、年収、税金(所得税、住民税)、社会保険料の数値は、以下から分かります。

・可処分所得=年収-所得税-住民税-社会保険料

◎年収や所得税、社会保険料は、「確定申告書(控)」において、収入金額等・申告納税額・社会保険料控除の欄に記載されている。

◎住民税は、6月に送付される「市区町村民税・都道府県民税 税額決定・納税通知書」で確認できる。

可処分所得が関係する各種比率

現在、総務省の家計調査において、可処分所得が関係する比率には、以下のようなものがあります。

■黒字率:可処分所得に対する黒字の割合

黒字率=(黒字÷可処分所得)×100
黒字=実収入-実支出=可処分所得-消費支出

■平均貯蓄率:可処分所得に対する貯蓄純増の割合

平均貯蓄率=(貯蓄純増÷可処分所得)×100
貯蓄純増=(預貯金+保険料)-(預貯金引出+保険金)

■金融資産純増率:可処分所得に対する金融資産純増の割合

金融資産純増率=(金融資産純増÷可処分所得)×100
金融資産純増=貯蓄純増+(有価証券購入-有価証券売却)

■平均消費性向:可処分所得に対する消費支出の割合

平均消費性向=(消費支出÷可処分所得)×100

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