事業再生ADR
読み方: | じぎょうさいせいえーでぃーあーる |
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分類: | 企業再生 |
事業再生ADRは、経営難(過剰債務)で苦しむ企業に対して、金融支援を与えて再建を目指す制度をいいます。
訴訟手続によらずに民事上の紛争を解決しようとする当事者のために、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続きである「裁判外紛争解決手続:ADR(Alternative DisputeResolution)」の一つで、事業再生の円滑化を目的として、2007年度の産業活力再生特別措置法の改正により創設されたものです。
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事業再生ADRの効果
事業再生ADRは、主として金融債権者のみを対象とした「私的整理手続」で、対象者の全員一致による決議を経て、金融支援(返済条件の変更、債権放棄、債権の株式化)を行うものです。
そのため、取引先に対する商取引債権などには影響を及ぼすことなく、また事業を継続しながら過剰債務問題を解決し、再生を目指すことができます。
事業再生ADRの主な対象
事業再生ADRを使った再建に向いているのは、主に大企業・中堅企業等で、急速に資金繰りが悪化して業績が低迷している一方で、過剰債務(借金返済)の負担を減らせば、十分に立ち直る可能性のある企業です。
<事業再生ADRの申請事例>
・ヴィア・ホールディングス(2021年)
・ワタベウェディング(2021年)
・サンデンHD(2020年)
・田淵電機(2018年)
・エドウイン(2013年)
・日本インター(2010年)
・日本航空(2009年)-2010年に会社更生法の適用申請
・ウィルコム(2009年)-2010年に会社更生法の適用申請
・アイフル(2009年)
・日本アジア投資(2009年)
・コスモスイニシア(2009年)他
事業再生ADRの主なメリット
事業再生ADRは、中立的立場にある専門家(経済産業大臣が認定した公正な第三者)の下で金融債権者・債務者の調整を行い、その後、債務免除に伴う税負担を軽減すると共に、つなぎ資金の融資を円滑化します。
・基本的に金融債権者(金融機関等)だけを相手方として調整を進める手続きであり、事業債権・売掛債権の債権者(取引先等)を巻き込む必要がなく、商取引を円滑に続けられる
・専門的知識を有する実務家の監督の下で進められる手続きであり、信頼できる
・つなぎ融資(一時的な資金繰り融資)に対する債務保証及び法的整理に移行した際のつなぎ融資に対する優先弁済を設定している
・仮に意見がまとまらず、裁判所を利用した手続き(特定調停や法的整理)に移行した場合でも、裁判所はADRの調整を引き継いで手続きを行い、裁判所も本調整結果を尊重する
・原則として、債権放棄による損失の無税償却が認められる