PSL

PSLは、"Past Service Liability"の略で、日本語で「過去勤務債務」とも呼ばれ、狭義には、確定給付型年金において、数理債務等と積立金を比較した不足額をいいます。また、広義には、制度発足後の給付増額や運用利回りが予定利率を下回ることにより事後的に生じる不足分も含めた幅広い概念となっています。

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• 確定給付型年金のPSL
• 退職給付会計のPSL

確定給付型年金のPSL

PSLは、確定給付型年金では、標準掛金とは別に、特別掛金として有限期間で償却することとされており、「年金財政上の積立不足」とも言われます。

また、本債務は、発生時期によって区別することがあり、制度発足時に発生したものを「先発PSL（初期PSL）」、制度発足後に発生したものを「後発PSL」と呼ぶこともあります。

｜先発PSL｜
制度発足時に過去勤務期間（制度発足以前の勤務期間）を有する加入者の当該期間を通算して給付を行う場合に発生する積立不足のこと。

｜後発PSL｜
制度発足後における基礎率と実績との相違（予定利率と運用実績とのズレ等）や、制度変更（給付水準の変更等）により発生する積立不足のこと。

退職給付会計のPSL

PSLは、退職給付会計では、退職給付水準の改定や新たな企業年金制度の採用などに起因して発生した退職給付債務の増減額（改訂前の退職給付債務と改訂後の退職給付債務の改訂時点における差額）を意味します。

また、この場合のPSLのうち、当期末時点でまだ費用処理されていない金額を「未認識PSL」と言い、将来にわたって費用処理されます。

※PSLは、かつては、退職一時金制度を年金制度に移行する場合のように、企業年金制度発足時の加入者について、それまでの期間（過去勤務期間）を通算して給付額を算定する制度において、過去勤務期間に対応する積立金の不足分を指していた。