租税条約

【読み方:そぜいじょうやく、分類:条約】

租税条約(Tax Treaty)は、二国間で課税権を調整するためのもので、企業や投資家などに対する二重課税や脱税などを防ぐために結んでいる国家間の条約をいいます。

2022年3月時点で、日本の租税条約ネットワークは、82条約等、149カ国・地域の適用となっています。

租税条約の目的

租税条約は、国境を越える経済活動に対する課税権を調整することにより、国際的な二重課税を回避して二国間の投資交流を促進すること、および税務当局間の国際協力を推進することにより、脱税租税回避などを防止することを主な目的としています。

例えば、日本から外国に投資している企業が、外国から得た所得(外国子会社からの配当)について、日本だけでなく外国でも課税される二重課税を放置すれば、日本の企業に過大な税負担を強いることになり、企業の経済活動が阻害される惧れがあります。

このような状況を回避するために、租税条約によって、両国の課税権を調整する必要があります。

租税条約の対象

租税条約は、大きく分けて、「所得税」に関するものと「相続税」に関するものがあります。

前者の所得税の租税条約では、法人税を含む所得税の国際的な二重課税の回避および脱税の防止を目的にしたものが多いのに対して、後者の相続税の租税条約では、各国における相続税等の制度の違いから生ずる国際的な二重課税を回避することを目的にしたものが多いです。

租税条約の締結

租税条約の締結にあたっては、居住者の範囲、恩典制限条項の有無や内容、所得の源泉地、課税権の範囲、制限税率の内容や適用条件、情報交換の有無、当局による交渉の用意の有無など、国家間の租税に関する基本的な条項で取り決める部分が多数あります。

現在、租税条約には、国際標準となる「OECDモデル租税条約」があり、OECD加盟国を中心に、租税条約を締結する際のモデルとなっています。

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