国際金融規制

読み方: こくさいきんゆうきせい
分類: 金融規制

国際金融規制は、「バーゼル規制」とも呼ばれ、世界の健全な金融システムを守る国際ルールをいいます。

銀行や証券会社、保険会社を主な対象とし、金融機関の経営や世界経済の動向に大きな影響を及ぼすものであり、特に2008年-2009年の世界金融危機以降、その基準が見直され、金融機関への規制が強化されました。

ここでは、国際金融規制の概要について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

国際金融規制の制定について

国際金融規制は、国境や分野を超えた整合性が必要なもので、世界の主要国の金融当局が協力して制定し、その基準を自国に導入し監督することによって、金融機関の健全経営を支えています。

現在、主な国際金融規制は、4機関が制定しており、具体的には、バーゼル銀行監督委員会が銀行関係、証券監督者国際機構が証券会社関係、保険監督者国際機構が保険会社関係、また金融安定理事会が金融分野全般にまたがるものや区別が曖昧なものの基準を定めています。

※銀行・証券・保険の3機関は、各分野を所管する各国の金融当局で構成。
※金融安定理事会は、主要25カ国・地域の金融当局と、他の3機関や国際通貨基金世界銀行など国際機関が参加。

国際金融規制の仕組みについて

国際金融規制を制定する4機関の活動には、
(1)構成員である各国の金融当局が協力して国際基準を制定する
(2)守ることを前提に自らで決めたものだから、各国当局はその基準を順守する
といった二つの重要な原則があり、これにより各国で規制が機能します。

具体的には、各国当局が基準を自国の法制として整備することで規制の実効性が発揮され、また自己資本規制など一部の基準は格付会社の格付けを決める際にも使われ、マーケットが金融機関に規制を守るように促す力となります。

国際金融規制の種類について

現在、国際金融規制には、自己資本比率規制や流動性規制などがあるほか、巨大金融機関への上乗せ規制もあります。

自己資本比率規制

バーゼル銀行監督委員会で合意された、国際銀行業務を行なう金融機関の国際的な統一基準。貸出残高や保有有価証券などのリスクアセットを含む総資産に対して、どのくらい資本金や引当金などの内部資金が存在するかという割合で、8%以上の確保を求めている。

また、日本では、独自の規制として、国内業務のみの金融機関に対しても、4%以上の確保を求めている。

流動性規制

金融機関が現金化できる資産を準備する規制。2010年に合意されたバーゼル3では、世界金融危機の教訓から二つの基準を導入した。

流動性カバレッジ比率

短期的な視点の基準で、もし金融危機のような事態に陥ったら、30日間持ちこたえられる資産があるのかを見る。

・金融危機など非常時
・30日間持ちこたえられるか
・最低100%必要(30日間の必要額がある)

安定調達比率

中長期的な視点の基準で、即座に現金化するのが難しい資産を、預金者からの預金や資本の調達でカバーできるかを確認する。

・平常時
・中長期間、安定して経営できるか
・最低100%必要(中長期間、資金調達できる)

国際金融規制の歴史について

・1973年:先進国が変動為替相場制へ移行、市場混乱で1974年にドイツのヘルシュタト銀行などが破綻
・1974年:バーゼル銀行監督委員会が設立され、国際金融規制の基準作りが始まった
・1983年:証券会社の規制基準を定める証券監督者国際機構が設立
・1994年:保険会社の規制基準を定める保険監督者国際機構が設立
・1996年:3機関が銀行・保険・証券にまたがる規制を国際的に議論するために、共同でジョイントフォーラムを設立
・1999年:金融安定化フォーラムが設立(1997-1998年のアジア通貨危機を経て)
・2009年:金融安定理事会が設立(世界金融危機を契機に金融安定化フォーラムを組織改編し、活動を大幅に強化)

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