双子の赤字

読み方: ふたごのあかじ
英語: Double deficit、Twin deficits
分類: 米国

双子の赤字は、財政収支経常収支(貿易収支)が共に赤字になっている状態をいいます。

1980年代のアメリカ合衆国のロナルド・レーガン政権下で行われた「レーガノミックス(自由主義経済政策)」により、その悪循環を招いて世界的に注目されるようになって以降、特に米国が抱える財政収支と経常収支の2つの赤字を指すことが多くなりました。

 双子の赤字=財政赤字+経常赤字(貿易赤字)

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米国の「双子の赤字」の要因

米国において、20世紀後半の財政収支の赤字は、第二次世界大戦後の積極財政が行き過ぎたことや、冷戦下での軍事費の増大によって招いたと言われています。特に1980年代のレーガン政権下では、大規模減税や軍事費増大などで財政収支が大きく悪化しました。

一方で、経常収支(貿易収支)の赤字は、1960年代以降の西ヨーロッパ諸国や日本の復興などに対して、米国の産業が対応し切れず、競争力を落としていったことから拡大したと言われています。

※昨今では、貿易赤字で対中国が最大になっている。

米国の「双子の赤字」の状況

長年、米国において、双子の赤字は歴代政権の構造的な課題とされ、他国からも是正を求められました。

1998年にビル・クリントン政権下では、好景気にも支えられ、財政収支が改善して黒字となり、一旦解消されました(経常収支は赤字のまま)。しかしながら、21世紀に入って、ジョージ・W・ブッシュ政権下では、軍事費増大と減税政策により、財政収支がまた赤字となり再発しました。

その後、2008年-2009年のサブプライム問題を起因とする世界金融危機、2020年のコロナショックでは、米政府が大きな財政面の支出を行ったため、財政赤字は大きく拡大することになりました。

現在、世界経済の中で、米国の「双子の赤字」は依然として続いており、その解消の目途はたっていません。

※世界的に景気回復した2010年代では一時改善傾向が見られた。

米国以外の「双子の赤字」

双子の赤字は、ニュースや経済記事などでは、世界経済に大きな影響を及ぼす、米国に対して言及されることが多いですが、一方で経済面の問題を指摘する際に、同様に2つの赤字(財政赤字と経常赤字)を抱える国に対しても使われます。

現在、米国以外では、インドネシアやインド、フィリピン、エジプト、トルコなどが「双子の赤字」を抱えています。

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