第三者割当増資
読み方: | だいさんしゃわりあてぞうし |
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英語: | Allocation of new shares to a third party |
分類: | ファイナンス |
第三者割当増資は、株主であるか否かを問わず、特定の第三者に新株等を引き受ける権利を与えて行う増資をいいます。
企業(株式会社)の資金調達手法の一つで、通常、業務提携先や取引先、取引金融機関、自社の役職員などの縁故者に引き受けてもらうケースが多いことから、「縁故者割当増資」や「縁故募集」とも呼ばれます。
なお、資金調達の際には、新株または企業が処分する自己株式(金庫株)が割り当てられることになります。
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第三者割当増資の実施について
第三者割当増資は、未上場企業が資金調達の一環として行うことが多いほか、上場企業では、資本提携や事業支援、会社再建のために資金調達を必要とする場合や、敵対的買収の対象となった企業が買収企業の持株比率を低下させるべく、企業防衛策の一環としてホワイトナイトに対して行う場合があります。
ちなみに、上場企業の事例としては、スズキと独フォルクスワーゲン(VW)の資本・業務提携に伴う包括契約に基づいた、2010年のスズキの独VWからの資金調達がありました(両社は2015年に提携解消)。
第三者割当増資の手続きについて
第三者割当増資は、既存株主にとって、持株比率が低下する上、不公正な価格で新株発行等が実施された場合、経済的な不利益を被る恐れがあることから、その発行手続きは、会社法により既存株主に配慮した形で詳細に定められています。
◎新株を「特に有利な価格」で発行する際には、株主総会でその理由を開示して、特別決議を経る必要がある。
◎金融庁の規制において、第三者割当増資を行う会社は、有価証券届出書に「発行価格の算定根拠及び発行条件の合理性に関する考え方」や「大規模な第三者割当の必要性」などを記載し、その合理性や必要性に関する会社の判断について説明することが義務付けられている(この判断に際して、第三者による評価を取得した場合は、その内容も記載)。