新株予約権無償割当
読み方: | しんかぶよやくけんむしょうわりあて |
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英語: | Rights issue |
分類: | ファイナンス |
新株予約権無償割当は、「ライツ・イシュー」とも呼ばれ、上場企業が既存株主の保有株式数に応じて、新株予約権を無償で割り当てることをいいます。
株主割当増資の一つで、増資に応じる既存株主は、予約権を行使して権利行使価額(現金)を企業に払い込んで新株を受け取れるのに対して、増資に応じない既存株主は、予約権市場で本権利を売却して現金を受け取れるという仕組みになっています。
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新株予約権無償割当の特色
新株予約権無償割当は、既存株主に対して、時価(市場価格)よりも低い価格で新株を買える権利(新株予約権=ライツ)を無償で割り当てる増資手法(資本調達)を指し、投資家側のメリットとしては、選択(権利行使)の自由があり、また他の増資と比べて不利益が生じにくくなっています。
◎他の増資と同様、一株当たり利益は減少するが、既存株主が新株の購入に応じれば、出資持ち分の低下(希薄化)を避けることが可能になっている。
◎既存株主が保有株を増やしたくない場合や購入資金を手当てできない場合などは、本権利(新株予約権)を市場で売却して、増資による経済的損失の全部または一部を穴埋めすることが可能になっている。
◎権利行使期間内に行使されなかった新株予約権は失権(消滅)し、新株予約権の保有者は株式を取得する権利を失う。
◎コミットメント型の場合、既存株主が手放した予約権については、証券会社が買い取り、他の投資家に販売することにより、増資を予定する企業は計画通りの規模で資金調達することができる。
新株予約権無償割当の現状(企業の活用)
新株予約権無償割当は、増資に応じれば、発行株式の増加に伴う希薄化の影響を軽減でき、また応じない場合でも利益の目減り分を権利の売却収入で補えることから、欧米やアジアなどでは、既存株主に配慮した増資手法として定着しています。
一方で、日本では、未だに時価を基準に市場から資金調達する公募増資が主流のため、既存株主は株式数の増加で一株当たり利益が減少するほか、出資持ち分も低下するという二重のリスクを抱えることが多いです。
◎長い間、日本市場では、企業の増資による株式価値の低下が投資家の市場離れを招いている大きな要因の一つとなっており、2011年に金融庁が新株予約権無償割当の規制緩和を行ったことにより、国際標準へ一歩前進することになった。
◎規制緩和前でも本手法は可能であったことから、日本での第1号案件は、2010年5月に実施された分譲マンションのタカラレーベンの増資とされ、以降、本手法を実施する企業は少しずつ増えている。