コミットメントライン

英語: Commitment Line
分類: 融資

コミットメントラインは、「銀行融資枠」とも呼ばれ、銀行と企業等(顧客)が予め設定した期間・融資枠の範囲内で、顧客の請求に基づき、銀行が融資を実行することを約束(コミット)する契約をいいます。

事業活動において、安定的な経常運転資金枠の確保や、マーケット環境の不測事態への対応手段の確保などを目的に利用されるもので、通常、契約期間中は、顧客は融資枠内であれば、いつでも審査なしで融資を受けることができます。

ここでは、融資手法の一つである「コミットメントライン」の概要について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

コミットメントラインの利用

コミットメントラインとは、顧客に一定期間に渡って貸出極度を設定し、極度額の範囲であれば、何度でも資金の借入・返済ができる融資形態です。1999年に「特定融資枠契約に関する法律」が制定され、手数料設定などの自由度が広がったことに伴い、以降、企業等に利用が広がることになりました。

現在、金融機関において、コミットメントラインの契約にあたっては、「特定融資枠契約に関する法律」の適用対象法人であることを原則としているところが多いです。

<特定融資枠契約に関する法律の適用対象法人の例>

1.会社法上の大会社
2.資本金3億円超の株式会社
3.純資産額10億円超の株式会社
4.金融商品取引法の規定による監査証明を受ける必要のある株式会社
5.上記 1~4に掲げる法人の子会社
6.保険業法上の相互会社
7.金融商品取引業者で所定の要件を満たす会社
8.貸金業法上の貸金業者
9.資産流動化法上の特定目的会社
10.投信法上の登録投資法人
11.広義の特別目的会社 他

コミットメントラインの種類

コミットメントラインの種類には、大きく分けて、スタンドバイとリボルビングラインの2つがあります。

コミットメントライン(スタンドバイ)

コミットメントライン(スタンドバイ)は、非常時以外には資金引出を前提としない狭義のコミットメントラインをいう。

リボルビングライン

リボルビングラインは、常時、資金引出を前提としたコミットメントラインをいう。

コミットメントラインの契約方法

コミットメントラインの契約方法には、大きく分けて、バイラテラル方式とシンジケート方式の2つがあります。

バイラテラル方式(相対型)

バイラテラル方式(相対型)は、各金融機関と個別にコミットメントライン契約を締結する方法をいう。

シンジケート方式(協調型)

シンジケート方式(協調型)は、アレンジャー(幹事金融機関)を中心に、複数の金融機関と一つの契約書に基づき、同一条件でコミットメントライン契約を締結する方法をいう。

コミットメントラインの効果

コミットメントラインの利用にあたっては、以下のような効果があります。

・安定的な流動性の確保や緊急時の流動性の補完
・B/Sのスリム化やROAの向上といった効率的な資金運用
・コマーシャルペーパー(CP)や社債のバックアップライン
・国内外の格付けの維持・向上およびIR対策
・金融機関との取引関係の維持 他

コミットメントラインの留意事項

コミットメントラインの契約や利用にあたって、基本的な留意事項として以下が挙げられます。

◎コミットメントラインの契約の際には、銀行所定の審査があり、その難易度は結構高い。

◎契約にあたっては、顧客の財務状態が一定の水準であることを条件とする「財務制限条項」や「財務状態維持条項」などの特約を付けられることがある。

◎契約期間内であっても、「財務制限条項」や「財務状態維持条項」などに抵触した場合は借入ができず、また極度契約を解約されることもある。

◎設定した融資枠の利用の際には、金利とは別に、コミットメントフィー等の手数料が必要となる(手数料は貸出極度の設定期間や契約形態などによって異なる)。

◎シンジケーション方式の場合、金融機関の参加状況によっては、希望の極度額の設定ができない場合がある。

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