財務制限条項
読み方: | ざいむせいげんじょうこう |
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分類: | 契約 |
財務制限条項は、融資や社債などの債務契約に付されるコベナンツのうち、債務者側の財務諸表または会計情報に依拠したものをいいます。
一定の財務健全性の維持を求める契約条項であり、融資の場合、債務者をモニタリングする上で重要な役割を果たしており、通常、違反すると債務者は期限の利益を失い、金融機関は一括返済を要求することができます。
※コベナンツ:融資や社債などの取り組みにあたり、契約内容に記載する一定の特約条項(義務・制限等)のこと。
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シンジケートローンの財務制限条項
シンジケートローンには、確約条項や担保制限条項、資産譲渡制限条項、財務制限条項、格付維持条項、事業維持条項、財政維持条項などのコベナンツがあり、この中で「財務制限条項」については以下のようなものがあります。
・前決算期の75%の純資産額維持などの純資産に係るもの
・有利子負債制限や自己資本比率維持などの資産・負債に係るもの
・利益水準やインタレスト・カバレッジ・レシオ水準などのキャッシュフローに係るもの
・所定の格付維持に係るもの 他
個別ローンの「財務制限特約付き融資」
財務制限特約付き融資とは、融資先(債務者)に対して一定の財務上の制約を課し、融資期間中にわたって遵守を義務付ける代わりに、金利や担保などの条件面で優遇を行う一方、財務上の制約が遵守できない場合は、金利の引き上げもしくは期限の利益を喪失されることを予め約束した上で実行する融資をいいます。
元々は、財務制限条項は欧米の商業銀行で契約的措置として利用されており、日本の銀行では、バブル崩壊後の1990年代末から2000年代初頭頃に導入されました。当初は、シンシゲートローンで主に利用され、その後、融資形態が多様化する中、個別ローンである「財務制限特約付き融資」も提供されるようになりました。