債務の罠
読み方: | さいむのわな |
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英語: | Debt trap |
分類: | 概念 |
債務の罠(債務のわな)は、「債務トラップ」とも呼ばれ、主に開発途上国(債務国)において、二国間の国際援助等の債務により、債務国の政策や外交、インフラ運営などが支援国(債権国)の拘束を受けることをいいます。
簡単に言えば、融資を受けた国が借金漬けに陥るもので、特に中国のシルクロード経済圏構想の「一帯一路」の一環として、中国からの融資が一部の途上国で返済不能に陥り、2018年頃から「借金漬け外交」として世界的に注目されるようになりました。
一般に途上国が債務の罠に陥ると、重い債務負担(借金漬け)に苦しむと共に、債権国から返済の圧迫を受け、ついには返済の代償を求められることがあります。その背景には、返済計画の甘さの他に、事業計画の杜撰さもあり、さらに国力という力関係もあります。
例えば、スリランカでは、中国から高金利の融資を受けて港湾(ハンバントタ港)建設を行いましたが、最終的に返済不能になって、2018年にハンバントタ港の運営権を中国国有企業に99年間貸与する契約が結ばれました(港湾施設が実質的に中国の支配下となった)。
なお、中国は、スリランカなどのケースで国際的な非難を受け、また2019年のG20では「債務の罠」が議題の一つに取り上げられ、開発途上国向け融資については、返済可能な範囲にとどめる「質の高いインフラ投資」を原則とすることで合意しました。
※中国は融資実態を公表しておらず、改善には程遠い。