新発10年国債利回り
読み方: | しんぱつじゅうねんこくさいりまわり |
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分類: | 金利 |
新発10年国債利回りは、新規に発行された、償還期間10年の国債の流通利回りをいいます。これは、日本の金融市場において、現在、長期金利の代表的な指標となっており、多様な年限(期間)の長期金利がある中、期間10年の金利を表しており、日々公表されています。
目次:コンテンツ構成
新発10年国債利回りの仕組み
新発10年国債利回りとは、新規(直近)に発行された、償還期間10年の国債の流通利回りで、現在、日本において、長期金利の代表的な指標となっています。
新発10年国債の取引価格と利回りの関係
新発10年国債の取引価格とは、証券会社や銀行などの業者間市場で取引された「国債の約定価格(市場価格)」で、取引時間中はリアルタイムに変動します。また、ニュースや市況概況などで報道される「長期金利が動く」というのは、新発10年国債の約定価格が業者間市場で変動することによるものです。
一般に国債の売買は、債券価格ですが、一方で国債の利回りが算出されるのは、債券(国債)には、以下のような利回りの算出式があるからです。
新発10年国債の指標性の維持
新発10年国債利回りは、長期金利の代表的な指標で、その仕組み面において、期間10年の金利の性質を維持するため、発行条件が異なる新たな回号の新発10年国債が発行される度に、指標金利となる銘柄が新たな回号のものに移行します。例えば、これまで長期金利の指標銘柄が第375回であったものが、第376回が発行された時点で、最新の第376回に指標銘柄が移行します。
なお、新発10年国債の回号は、市場環境にもよりますが、通常、1カ月から3カ月の間で変わります。
新発10年国債利回りの情報元
新発10年国債利回りのレートは、国債を中心とする債券の業者間市場を運営する、日本相互証券の「新発10年国債の取引価格(出来値)」を基に算出されており、現在、RefinitivやBloomberg、Quickなどの情報ベンダーを通じて、マーケット情報の一つとして広く配信されています。
情報元の「日本相互証券」とは?
新発10年国債利回りの情報元である「日本相互証券」は、1973年に大蔵省(現・財務省)の諮問機関であった証券取引審議会の答申に基づき、日本の債券流通市場の整備を図るために設立された会社で、長年、債券市場の主要プレーヤーである証券会社や銀行などが株主となっています。
現在、日本相互証券は、国債を中心とする債券取引の仲介に特化しており、日本の債券流通市場の中で、中核的役割を担う金融インフラとして位置づけられています。具体的には、債券の電子取引システムを提供し、証券会社や銀行などが参加する、債券の業者間市場を運営しているのが大きな特徴となっています。
最新情報を見るのに便利なサイトは?
新発10年国債利回り(長期金利)の最新情報を見る上で、いくつかサイトはありますが、その中で、投資情報サイトの「investing.com」は結構便利です。
◎日本の長期金利の指標である「10年の国債利回り」だけでなく、短期から長期までの国債利回りが見られる。
◎日本の国債だけでなく、世界各国の国債の利回りも見られる。
国債と長期金利
国債は、債券市場の中で発行残高と流動性が最も高く、また政府(国)が発行する債券で信用度が高く、売買も非常に活発なため、世界各国で長期金利の指標として広く活用されています。
一般に長期金利は、企業が設備投資などの長期資金を銀行等から借りる際の金利や、個人が住宅ローンなどを組む際の金利に大きな影響を与えるため、その動向(新発10年国債利回り等)を把握しておくことは非常に重要と言えます。
国債について
国債とは、政府(国)が財政上の必要に応じて、社会資本の整備・拡充や歳入不足の填補などを行うために発行する債券をいいます。これは、国が発行し、利子及び元本の支払いを行うため、その国において、全ての債券の中で最も信用力が高く、他の債券の金利のベースとなります。
現在、日本の国債については、2年、3年、5年、10年、15年、20年、30年、40年の利付国債が発行されているほか、2カ月、3カ月、6カ月、1年の国庫短期証券(割引国債)が発行されています。
長期金利について
長期金利とは、広義には、個人や企業、金融機関、政府、地方公共団体、国際機関などが、期間1年以上の資金の貸し借りをする場合に適用される金利の総称をいいます。また、狭義には、長期金融市場で注目される指標金利である、償還期間10年の国債の流通利回りを指し、時系列や国際的に、長期金利を比較する際に広く用いられています。
現在、日本のマーケットでは、長期金利の代表的なものとして、各年限の国債利回りや金利スワップレートなどがあり、その中で、新規に発行された、償還期間10年の国債の流通利回りである「新発10年国債利回り」が指標金利となっています。
長期金利の指標の変遷
日本では、その昔、既発10年国債の中から、発行量や販売高が多い、クーポンレートがその時々の流通利回りに近い、保有が偏っていないなどの条件を満たした銘柄を「国債指標銘柄」としていました。
その後、市場環境の変化により、売買の中心が「既発10年国債」から「新発10年国債」に移ってきたため、1999年3月から「直近の新発10年国債の利回り」を長期金利の指標とするようにしました。
本来、国債は必ずしも毎月発行されるものではありませんでしたが、1965年以降、毎月発行されており、そのつど長期金利の指標となる対象銘柄が交代しています。